第89話 いない物

偏屈な老人がいた。老人は短気で、些細なことで罵詈雑言を皆に浴びせるため、煙たがられていた。ある日、老人は道で躓き動けなくなった。周りの皆は知らぬふり。いつものように暴言を吐いても、皆反応しない。次第に老人は泣き叫ぶが、周りは何もしない。いない物になった老人は、とうとう骨になった。

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