第55話 それを聞いても何も思わない私はおかしいのだろうか
私と母を捨て、若い女に溺れた父。私たちは苦労を重ね、その後大成した。温かい家庭を持ち幸せなころ、突然父が私たちを訪ねた。だらしない笑みを浮かべた父を前に、私は財布から現金を抜いて目の前に落としてやった。それを見た父は真顔になり、再び姿を消した。後日、父は癌で死んだと人づてに聞いた。
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