青い青い赤ちゃん
@chased_dogs
青い青い赤ちゃん
あるところにジョンソンさんという人がいました。
ジョンソンさんは村一番の働き者。村の誰より早くに起き、村の誰より遅くに眠ります。
ある日、ジョンソンさんはいつものように夜明け前に働きに出かけ、日が沈み星明かりだけがあたりを照らす頃になっても働いていました。
ジョンソンさんが仕事を終えて、家に帰ろうかと思ったその頃、突然あたりが青く光り始めました。空を見上げると、何か光るものが駆け抜けていくのをジョンソンさんは見ました。
ジョンソンさんは「何だろう?」と思い、光が向かう先、ジョンソンさんの畑に向かいました。
はたしてジョンソンさんの畑には、青い隕石が落ちていました。
ジョンソンさんは納屋から持ってきた鹿撃ちの銃を突き出しながら、ゆっくりゆっくり青い岩に近づき、銃の先で岩をちょいちょいとニ三度小突いてみます。
鉄と岩のぶつかる音がして、それだけでした。ジョンソンさんは銃を下ろしながら近づいて、青い岩肌に手を触れました。手に岩肌の温かみが伝わってきます。
「ただの石ころか」
ジョンソンさんは呟き、そのまま家に帰り眠りました。
◆◆◆◆
次の日、ジョンソンさんはいつものように朝早くに出かけ、夜遅くまで仕事をして家に帰って来ました。
家の前、玄関の戸の前に青い岩が置かれていました。
「誰のイタズラだろう。これでは家に入れない」
ジョンソンさんは困ってしまいました。
ジョンソンさんは青い岩を持ち上げ、玄関の脇にどかして戸を開けました。そして家に入り、それから戸を閉めようとしますと、戸の間に青い岩が挟まって来ました。
「ごめんください。お家に上がらせてもらえませんか?」
青い岩がジョンソンさんに話しかけました。ジョンソンさんは少し考えてから答えます。
「どうぞ。お上がりなさい」
「ありがとうございます。では失礼します」
青い岩はジョンソンさんの家に入って行きました。
青い岩は、ジョンソンさんが階段を登りますと、一緒になって階段を登りました。ジョンソンさんがベッドへ向かいますと、その後をついて行きました。
その日、ジョンソンさんは青い岩と一緒に眠りました。
◆◆◆◆
次の日の朝、ジョンソンさんが目覚めると、赤ちゃんが隣に眠っていました。青い青い赤ちゃんでした。青い石が部屋中に転がっています。
ジョンソンさんが青い青い赤ちゃんを見つめていると、ゆっくりと赤ちゃんの目が開きました。
「おはようございます」
「おはよう」
ジョンソンさんが立ち上がると、青い青い赤ちゃんは訪ねます。
「どちらに行かれるのですか」
「これから仕事をしに行くのです」
ジョンソンさんは言いました。
それから、ジョンソンさんと青い青い赤ちゃんは仕事に出かけました。
◆◆◆◆
青い青い赤ちゃんとジョンソンさんは、とてもよく働きました。
とてもよく働きましたので、ジョンソンさん一人では日が暮れても終わらなかった仕事も、日の高いうちに終わってしまいました。
「よし。仕事も早くに終わったし、帰って風呂に入ろう」
二人は家へ帰りました。
◆◆◆◆
家に帰り、湯を沸かすと、ジョンソンさんと青い青い赤ちゃんはお風呂に入りました。
ざぶざぶとお湯が流れていきます。不思議なことに、お湯の色は段々と青く変わっていきました。
青い青い赤ちゃんの周りから、どんどんどんどん、青いお湯が拡がっていきます。
ジョンソンさんは、青い青い赤ちゃんの体をよく洗ってやりました。洗ってやりますと、青い青い赤ちゃんの色は落ち着いて、青い青い赤ちゃんは青い赤ちゃんになりました。
「のぼせるといけないから、そろそろ出ようか」
ジョンソンさんは言いました。
「そうですね」
青い赤ちゃんは言いました。
青い赤ちゃんを抱えてお風呂から出ますと、ジョンソンさんの体は
体をタオルで拭いて、パジャマに着替えて、それからお水を飲んで、ジョンソンさんと青い赤ちゃんはベッドで眠りました。
◆◆◆◆
次の朝、青い赤ちゃんが目覚めると、ジョンソンさんは青い岩に変わっていました。
「ジョンソンさん。もう朝ですよ」
青い赤ちゃんが話しかけますが、返事がありません。仕方がないので、ジョンソンさんの代わりに、青い赤ちゃんは仕事に出かけました。
青い赤ちゃんは、ジョンソンさんがするように、仕事をしました。村の誰より早く起き、村の誰より遅くに眠りました。
そうして、一日が過ぎ、二日過ぎ、
いつものように仕事を終え、ジョンソンさんの家に帰ってくると、青い赤ちゃんはジョンソンさんの青い岩のところへやってきました。
「ただいま。戻ってきましたよ」
青い赤ちゃんが岩を撫でてやりますと、ぶるりと岩が震えました。
そうして、ぽろりぽろりと岩が崩れて、中から青い青い赤ちゃんが出てきました。
「おやまあ」
◆◆◆◆
それからというもの、青い赤ちゃんと、青い青い赤ちゃんになったジョンソンさんは、毎日一緒に朝早くに起き、仕事をし、日が暮れる前に帰り、そして眠りました。
二人はいつまでもいつまでも、幸せに暮らしました。
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