秘密の知

らく

第1話 好成績カップル

「君、僕と一緒に働かないか?」


「翔!早く行くよ!」

「ちょっと待って!伽耶」

翔と伽耶はともに高校1年生。

同じ私立高校に通っている。

「翔。昨日言ってたさ、化学のモル濃度の

 話やけどさ。あれ、LINEじゃあんまり

 わからんからさ、もっかいおしえて

 くれへん?」

「なんでやねん。昨日あんなに教えたやん」

「だって、翔の言ってることは難しくて

 わからへんねんもん。

 今日うちでええな?」

「わかった。これで理解でけへんかったら

 もうモル濃度はおしえへんからな。」

「じゃあわかりやすく教えんかい !」

「なんで俺がどつかれんねん!」

翔と伽耶は小さい頃からのいわば幼馴染。

「じゃあ、見返りは日本史で。

 江戸時代の話マジでわかれへんから」

「任しとき!ウチ日本史得意やから」

伽耶は日本史、世界史、古文、漢文、英語で

常に学年一位をとる圧倒的な文系。

なぜ文系なのに現代文が一位でないのかというと、翔のせいだ。

翔は化学、生物、物理、数学1・Aそして

現代文で常に学年一位をとっていた。

なぜ、いかにも理系な翔が現代文で一位なのか

ここにも伽耶がいた。小学校の頃に伽耶に勧められて本を読み出してから、本にどハマりしてしまい、現代文だけ得意なのだ。

伽耶はいつか、「こんなことならほんなんてすすめるんやなかった」と嘆いたこともあった。

そんな二人は、学校でも話題であり、

いつも好成績でいつも一緒にいる二人を

『好成績カップル』なんていう人もいた。


しかし、翔には、クラスメイトや伽耶にすら

言えないことがあった。

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