イニシャルM
勝利だギューちゃん
第1話
僕は登山を趣味にしている。
最近では、エスカレーターとか、ケーブルとかで、登る人もいる。
でも、それでは意味がない。
恰好つけているわけではないが、やはり自分の足で登りたい。
今日も、休日に登山に来た、
隣県の山。
標高300メートルほどだ。
しかし、山の天気は気まぐれ。
雨は突然踏み出す。
突然の土砂崩れで命を落とす人もいる。
それを防ぐためなのか、山小屋があり、僕は飛び込んだ。
すると、すでに女の子がいた
「お兄さん、早くドアしめて」
「あっ、ごめんなさい」
僕は、慌ててドアを閉めて、近くに座る。
「お兄さん、登山好き」
「ああ。好きだよ」
「健康的だね。私も好きだよ」
「そうなんだ」
確かに登山慣れしている服装をしている。
「私、松野美奈。17歳。お兄さんは?」
「僕は、森山正孝。22歳。一応、社会人だ」
美奈と名乗る少女は笑う。
「どうした?」
「私たち、ふたりとも姓名のイニシャルがMだね」
「あっ、そういえば・・・でも、笑うとこ?」
「そういう、お年頃なの」
ふたりで、いろいろな話をした。
外は雨だ・・・
かなり本降り。
「止みそうにないね」
「ああ」
そこへ、新たに男女がふたり、小屋に入ってきた。
「いいですか?」
男性の方が声をかける。
断る理由はない。
すると、女性の方が声をかけてきた。
「おふたりは、ご兄妹か何かですか?」
「いえ。今日が初対面です」
さすがに、恋人には見えないか・・・
「私は、前田正人です。こいつは、妻の美穂。旧姓は村田」
僕と、美奈さんも挨拶をする。
すると、奥さんのほうが、笑った。
「私たち、全員姓名のイニシャルがMですね」
「あなたも、笑いますか?」
「そういう、お年頃です」
女とは、そういう者なのか?
しばらく、4人で談笑をした。
いつしか雨は病む。
「止みましたね。じゃあ、私たちは・・・」
「こんにちは。って遅いですね」
「いえ。ご縁があれば・・・」
夫婦は、先に出て行った。
「じゃあ、私も・・・正孝お兄さんも、元気で」
「美奈ちゃんもね・・・」
小屋の外で、握手をして別れた。
下山して、山を見上げる。
「そういや、この山もMだったな」
そうつぶやいた。
イニシャルM 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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