第2話 雄介 part1

私には好きな人がいる。その人は私の気持ちには気づいていない。今まで近すぎて、そんな意識を持ったことすらないと思う。そんな私も彼のことを意識し始めたのは最近で、それまではただの幼馴染。家が隣っていうだけで仲良くなった。お互いの部屋を直接行き来できるので、たまに驚かせようと思って勝手に部屋に入ることもある。そんなことを繰り返していたある日。ふと、彼の部屋にあるP Cが気になって、検索履歴を見てしまた。お年頃ということで、ちょっと話せないような内容のものがあった。その中の8割には幼馴染というワードが入っていて、そこからなぜか彼のことが今までと同じように見ることができなくなった。


そんな彼は私の隣でいつものようにあくびをしながら一緒に帰っている。私の気持ちも知らずに。


「     。」


今までの私なら何気ない一言だったと思うが、今は少しだけ勇気を振り絞る必要がある言葉だった。


「なんでだよ?そうだ。今度からお前、俺のP C見るなよ。」


そんな勇気を汲み取れない彼はいつものように冷たく接してくる。今までなら気にならなかったのに、余計に冷たく感じる。P C を見たことは少しだけ悪いと思っている。T Vでやっていたケータイの中身を見てしまう彼女の気持ちが今ならわかる。


「     。」


「そういう問題じゃないんだよ。プライバシーってもんが・・・。」


「     。」


彼と帰っていると時間が過ぎるのが最近早い。いつの間にか家の前に着いてしまっていたので、彼の言葉から逃げるように家の中に逃げた。


「     。」


「おかえり。」


お母さんが迎えてくれる。私の家は、お父さんが会社員で、お母さんは専業主婦。


「今日、雄介くん晩御飯いるか聞いてきて。」


「     。」


「ほんと仲良いわよね、あなたたち。」


「     。」


お母さんとの話を少し急ぎ目に終わらせて、私は早着替えをして、窓の鍵の空いている雄介の部屋に飛び込んだ。


「     。」


「また勝手に入ってきて、今度から鍵閉めるぞ。」


雄介はいつもそういうのだが1度だけ閉めたっきり、開けっぱなしでいてくれている。その1度の時に私が号泣したら、それが嫌だったのか開けてくれている。


「     。」


「〇〇は着替えているけど、俺まだ着替えてないんだけど。」


その言葉にドキッとする。


「     。」


少し振動が大きくなった心臓を押さえて精一杯強がりをいう。その言葉を聞いたら雄介はそのまま後ろを向いて制服を脱ぎ始めた。男の子らしい、少し筋肉のついた体だった。その姿に目が離せなくなった。


「何じっと見てんだよ。着替えにくいだろ。」


「     。」


「はいはい。そうですか。」


自分の頭に血が上ってくる感じがした。顔赤いかな?

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