第9話 夏の夜の怪奇?事件と満月

皆さん、こんばんは。

最近、暑い夜が続いてますが、いかがお過ごしでしょうか。

私はいつも、水槽を巡回するように泳いだり、餌を探しながら移動しているんですが、実は奇妙な事が起こりました。

これはようやく事件に巡り合えた気がします。

さて、探偵コリドラスの「ダダちゃん」ものすごくものすごく久しぶりに事件解決しますよ。




“それは昨夜、私が餌を探して移動していた時まではあったんです。”


皆様、この水槽では、石巻貝さんが一匹しかいないのに、なにか産み落としているのはご存じでしょうか?

それが、一晩経ったらいつの間にか無くなっていたんです。

ミナミヌマエビの「ヌマさん」が「卵じゃないか?」と言っていたのに、孵る事なく、無くなったのです。

まだ、ついている所にはついているんですが、無くなったのは、石についていたものばかりなんです。

なぜでしょうか、これは事件です。

「たぶんだけど、飼い主さんじゃねーかな?掃除でもしたんじゃねーか?」

「これはこれは、ネタバレのヌマさん、せっかく久しぶりに事件の匂いがして、ウキウキだった私に随分な事を言ってくれますね」

「おぉ、もうその探偵業ってやつ、辞めたらどうよ、事件なんて起きやしないんだから」

「そういうヌマさんだって、エビ界の探偵じゃなかったんですか?」

「そんな大層なもんでもねーけどな」

「ところで、今日はどうしたんですか?餌団子なんか持って」

「これか?今日、満月らしくてな、月見はまだかも知れねーけど、月見団子食おうと思ってよ」

「月見?満月?って、その餌団子、私のコリドラス用の餌で作られてるじゃないですか!しかも、つまつまして食べるのが、ミナミヌマエビさん達の特徴じゃないんですか?そんな団子、作れるんですか?」

「いや、スナックのママに特別に作ってもらったんだ」

「なるほど」

「で、今日は満月だからな、月見酒しようとおもったのよ」

「へぇー、月見酒ですか、水槽から見えるんですか?」

「おめぇ、こまけー事きにしねーの」

「ところで、なぜ今日が満月だと分かったんですか?」

「それは、向こうの水槽にいるヤマトヌマエビさんらが、満月の舞を踊ってたからよ」

「満月の舞?」

「満月になると、ヤマトヌマエビさんは、水槽内をせわしなく泳ぎ回るのよ、それを俺が勝手に「満月の舞」って言ってるだけ」

「満月だけですか?ミナミヌマエビさんは、相変わらずいつも通りに見えますが」

「まぁ、満月だけだね、水槽が違うから分からねーが、そうだな、ミナミヌマエビは変わらねーな」

「そんな事って、あるのですね、初めて知りました」

「まぁ、向こうにある、別の水槽の事だからな、知らなくてもしょうがねーよ」

「あの、なんで、ヌマさんは知ってるんでしょうか?」

「ひみつ」




皆さん、今日は満月らしいです、コリドラスの「ダダちゃん」は、探偵業を諦める気はしません。

水槽内の事件なら私にお任せ下さい。

「次回、最終回!」

「ちょっ、ヌマさん!あっ!」


              第9話 終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る