第142話6-11茶番
「ソウマっ!!」
姉さんの叫び声が聞こえるけど僕は自分の胸に刺さったミーニャの槍を見ている。
「ソ、ソウマ君!?」
「なんで!? なんでソウマ君がそんな女をかばうのよ!!」
訳が分からなくなってきた。
いや、意識が遠のいて来た。
ミーニャの槍は深々と僕の胸に刺さっている。
それは多分僕の心臓に届いているのだろうか?
「な、なんで、ソウマ君!?」
「駄目ですわ!! ソウマ君!! 【治癒魔法】っ!!!!」
「嫌ぁっ!! ソウマぁっ!!!!」
完全に動きを止め僕の胸から槍を抜き呆然とするミーニャ。
胸からあふれ出る僕の血を汚れる事すらいとわず慌てて両の手を光らせ胸に手を当て治療を始めるエマ―ジェリアさん。
そしてなぎなたソードを放り投げ僕を抱きかかえる姉さん。
「ミーニャっ! ソウマになんて事をっ!!」
「え、あ、だ、だって‥‥‥ソウマ君が他の女と、あたし以外の女と‥‥‥」
「今はそんな事どうでも良いですわ! セキ、お願いですわ魔力をですわっ!!」
「わかった、エマありったけ使いなさい!! ソウマっ!」
「ソウマ!?」
「お、おいソウマっ!」
ぴこぴこっ!!
姉さんやミーニャ、エマ―ジェリアさん以外にもセキさんやシェルさん、リュードさんにアイミもここへ集まる。
『魔王様?』
『ちょっ、まさかソウマ君!?』
『魔王様、大丈夫ですか?』
麒麟やリリスさん、ソーシャさんまでこちらに来た。
「ふむ、魔王の怒気が完全に消えたな。だが僕の力はまだ封じられたままか‥‥‥」
「アガシタ様、あの子まずいですよ?」
「ああ、本当だ。【治癒魔法】が追い付いていませんね? このままでは魂と肉体の繋がりが切れてしまいますね?」
アガシタ様たちの声がどんどん遠くになっていく。
えーと、何だっけ?
ああ、だめだ。
意識がもう‥‥‥
「こんな所にみんないたのですわね? 探しましたわ!」
ものすごく昔に聞いた事が有るようなその可愛らしい声を最後に僕は目の前が真っ暗になるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます