第50話3-9エマ―ジェリア散る


 「まあいろいろあったけど、私たちは魔王ミーニャを大人しくさせるのが目的よ?」



 シェルさんはピンクのツインテール悪魔の質問にはっきりとそう答える。

 途端にピンクのツインテールとその取り巻きの赤と白の悪魔がその魔力を高める。


 『どう言う事? 魔王様に仇成すつもり?』


 すっと目を細めるピンクのツインテール悪魔。



 「どちらにせよミーニャは村に連れ帰るわよ! あの子のせいで大問題になっちゃったんだから!」


 姉さんもそう言ってずいっと前に出る。

 


 『そう、でも魔王様に敵対するなら容赦しないわ! ラガード、リガード!!』


 『はっ! リリス様!!』


 『覚悟しろ貴様ら!!』



 そう言っていきなり赤と白の左右対称の悪魔は僕たちに襲いかかって来た。



 「結局はこうなるのよね! 良いわうっぷん晴らしさせてもらうわ!!」

 

 セキさんは襲い来る赤い悪魔に、姉さんは白い悪魔に対応をする。

 そしてピンクのツインテール悪魔の前にはシェルさんが立ちはだかる。



 「ガレント流剣技七の型、おぼろっ!!」


 白い悪魔が拳を振り上げ姉さんに踏み込む。

 姉さんの倍近いその巨体で殴られたらいくら姉さんだってただでは済まない。

 でも姉さんは動かずなぎなたソードを自分の後ろに隠しその瞬間を待つ。


 『臆したか女っ!』



 ぶんっ!



 白い悪魔は姉さんに拳を叩き込む。

 しかし姉さんの影から光る銀色の閃光がその動きを予測させず白い悪魔に吸い込まれる。



 すっ


 ざんっ!



 『なにっ!? ぐはっ!!』



 揺らぐように姉さんの姿は白い悪魔の拳を避け白い悪魔の体にいくつもの斬撃を打ち込んでいた。


 その一瞬に白い悪魔は膝を地面に着いた。




 「赤光土石流拳!!」


 セキさんはいきなり赤い悪魔にまるで土石流かの如くの赤い光の無数の拳を放つ。



 『なっ!?』



 どどどどどどどどっ!

 

 バキッ!!



 そのあまりの圧倒的な攻撃に赤い悪魔は驚きの声を上げた瞬間怒涛の攻撃に跳ね飛ばされ宙に舞う。




 『なんですってぇっ!? リガード! ラガード!!』


 その一瞬の出来事にピンクのツインテール悪魔は絶句する。



 「さて、大人しくしてくれるならこれで終わりにするけど、どうする?」


 『ぐぎぎぎぎぃ、わかった、降参する! もう何なのよぉっ!』


 そう言ってピンクのツインテール悪魔は両手をあげてシェルさんに近づく。


 『どうぞ煮るなり焼くなりご自由に。何ならあたしの体を自由にしても良いのよ? あたし女でもいける口だから~』


 「残念ながら間に合ってるわ、それにあなたじゃ私の趣味じゃないわよ?」



 『あらそう? 残念っ! 喰らえ【淫夢霧】!!』



 ぶふぅーっ!!



 シェルさんに降参するふりをしてピンクのツインテール悪魔はいきなり口からピンク色の霧を吐き出した!?



 『あははははぁっ 油断したわね!? あたしのこの【淫夢霧】を吸い込んだものは良い夢を見れるわよ? 夢の中であたしがたっぷり楽しませてあげる! 永遠にね!!』


 「まあこんな事でしょうね。でも詰めが甘いわ。風の王よっ!!」



 ぶわっ!!



 シェルさんを取り囲んだと思われたピンクの霧はシェルさんの精霊魔法で竜巻の様な物に弾き飛ばされる。


 『なっ!? 何時の間に!?』


 「この程度の淫魔の技なんて私には無いにも等しいわ。いつもはもっとあの人とすごい事をして‥‥‥ ってぇ、ソウマっ!!」



 「へ?」



 見ていた僕にそのピンク色の霧が吹き飛んでくる。

 思わず両手でそれを防御しようとするけど甘い香りのその霧を僕は吸い込んでしまった。



 ドクンっ!



 いきなり頭がくらくらする。

 それに鼓動が早くなってきて体中がムズムズする?



 「はうぅぅぅううぅですわぁっ!!」



 え?



 ぼうっとし始めた僕はエマ―ジェリアさんのその声を聴く。

 そちらに視線を向けるとアイミの上にいたエマ―ジェリアさんにもあの霧が行っていた。



 「ううぅ、こ、これはですわぁ~、駄目ですわぁ、体が熱いですわぁ~」


 そう言ってエマ―ジェリアさんはふらふらとアイミから降りてきてよろよろと僕の近くに来てしまう。



 どきっ!



 僕はエマ―ジェリアさんのその表情を見て思わず心臓が高鳴る。

 可愛い人だとは思ってた。

 でも今はそれがもっと可愛く見える。


 少し赤くなって息が荒いエマ―ジェリアさんはミーニャより可愛いかもしれない。

 そんなエマージェリアさんが僕に抱き着いてくる。



 「わ、私もう駄目ですわぁ、ソ、ソウマ君ごめんなさいですわぁ、体が熱くなってきてもう、我慢できそうにないですわぁ~」


 「エ、エマ―ジェリアさん?」



 そう言いながら僕はエマ―ジェリアさんに押し倒される。

 そしてエマ―ジェリアさんは更に息が荒くなって僕の顔に自分の顔を置近づける。


 『あーはっはっはっはっはぁっ! どうやらあっちには効果てきめんね! さあ淫らになるがいい!』


 「くっ! ソウマ、エマっ!!」


 

 「なっ!? ソウマっ! エマ―ジェリアさんっ!! 何やってんのっ!!!?」


 「あらあらあら~!?」


 シェルさんはピンクのツインテール悪魔に対峙したまま隙無くその様子をうかがっている様だけど姉さんとセキさんは慌てて僕たちに近づいてくる。



 「ソ、ソウマ君ごめんなさいですわぁ、もう、我慢できませんわぁ‥‥‥」



 ぐっ!



 エマ―ジェリアさんは強く僕を掴む手を更に強く握りしめ一旦僕から顔を離し上を向いてから僕に覆いかぶさる!?


 そして!



 えろえろえろえろえろえろぉ~~~~


 きらきらきらきら‥‥‥




 「のびゃぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」



 僕の悲鳴が上がる。

 エマ―ジェリアさんはキラキラしたものを僕の顔にぶちまけてくれた。



 『うわっ!?』


 「えっ? うわっ、ソウマ、エマっ!!」


 「きゃーぁっ!! あたしのソウマがぁッ!!!!」


 「うっわぁ~~~~っ!」



 その瞬間その場にいた人たちはきっとみんな同じ事を思っただろう。

 

 


 えんがちょ~っ!!!!

 

 

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