第43話3-2もう一回水上都市スィーフへ
「急がば回れって言葉もあるからね、エリリアの神託に従った方が良いわよ」
「はぁ、でもそんなにその『ハーピーの雫』ってのをミーニャが欲しがっているんですかね?」
僕はシェルさんに聞きながら首をかしげる。
あの後急いでベイベイに戻ってからまたまた水上都市スィーフのシーナ商会支店に来ていた。
「シェル、リザードマンの集落行くならオオトカゲじゃないと大変だよ?」
「その辺はゼーラに任せてあるわ。もう手配してくれているわよ?」
スィーフのシーナ商会に着いたらシェルさんはすぐにゼーラさんに会って今回の目的を話す。
ゼーラさんは「かしこまりました」とだけ言ってすぐに準備を始めたらしい。
「ソウマ、ミーニャって娘はソウマの事が大好きなんでしょ? だからソウマの為ににもその『ハーピーの雫』を手に入れる為にこれだけ面倒事を引き起こしているのよ。女心の妙ね」
「はぁ、そんなものなんですか‥‥‥ でもその『ハーピーの雫』って一体全体何なんですか?」
首をひねる僕はそれが何か気になって聞いてみる。
「あら、知らなかったの? 女の口から言わせるようなモノじゃ無いのよ? それにその時になれば良く分かるわよ」
シェルさんはくすくす笑いながら僕を見ている。
なんかすごく楽しそうだな。
「な、何ならお姉ちゃんと使ってみる、ソウマ!」
「なんだか良く分からないけど嫌な予感するからヤダ」
「もう、ソウマのいけずぅっ!!」
僕たちがそんな事を言いながら騒いでいるとゼーラさんがやって来た。
「シェル様、準備が整いました」
「ご苦労様、それじゃ出発しましょうか?」
僕たちはこうしてすんなり水上都市スィーフを出発するのだった。
* * * * *
のはずだったのだけど‥‥‥
「なんでこんなに悪魔どもが街の外にいるのよ?」
セキさんはオオトカゲの上で悪魔の軍勢を見ている。
みればレッサーデーモンやら時折上位の悪魔たちまでいる。
『おお、そこな旅人よ、ちと訊ねるが街中に我らが同胞のライオンの頭の悪魔は見かけなかったか? 街に入ったきり音信不通でな。我らにここで待つよう命令を下したのだがな』
ヤギの頭の悪魔が少しくぐもった声で聞いてくる。
「ライオン頭?」
『うむ、ブエル殿は何でも人間の世界でどんな品物でもそろうというシーナ商会とやらに行ったそうだがその後どうなったか全くと言って良いほど連絡が取れぬでな。我らもどうしていいか難儀しておるのだ』
思わず姉さんが漏らしてしまったその言葉にヤギ頭の悪魔はすぐに反応した。
ライオン頭って‥‥‥
僕は思わずセキさんを見てしまった。
「そいつならもう戻ってくることは無いわよ。あたしが倒したからね!」
しゅたっ。
セキさんはそう言いながらオオトカゲの上から飛び降りる。
しかしヤギ頭の悪魔はセキさんを見ながら大笑いをする。
『ははは、女よ何を言い出す。ブエル殿は【魔王】様が呼び出した至高の十二柱ぞ。お前の様な女人に遅れをとることなど考えられぬわ』
大笑いしているヤギ頭の悪魔を見てからセキさんはシェルさんを見る。
「こいつ殺っちゃって良い?」
「はぁ、あんたときたら‥‥‥ でもまあこいつらに街に入り込まれたら流石に面倒ね? 仕方ない、やっちゃいなさいな」
するとセキさんはにまぁ~っと笑って両手の拳を打ち合わせてから吠える。
「あのライオン頭に女モノの下着売り場で不完全燃焼にさせられたからね! 大暴れさせてもらうわ!!」
『ちょっとマテ、ブエル殿が、にょ、女人の下着売り場にだとぉ!? ば、バカなっ!! 悪魔界一の硬派のあのブエル殿が女人の下着売り場だとぉっ!?』
なんか僕でもわかるくらい真っ赤になって額に汗をかきながらヤギ頭の悪魔が狼狽する?
そしてその後ろにいた悪魔たちも同じリアクション??
「とにかくあんたら覚悟しな!!」
そう言って飛び掛かるセキさんだったのだ。
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