第37話2-16ご迷惑
ミーニャが世界のどこかにあるというハーピーの何とかって物を探して配下の魔王軍を世界各国へ派遣しているらしい。
ボヘーミャの学園長さんは世界連合軍の調停役として長くその司令塔をやっていたらしい。
シェルさんの話では今の世の中ほとんど連合軍が動く事なんて無くて災害時の救援や復興支援がほとんどだったらしい。
「各国に現れた魔王軍の配下はどう言う訳か各国の市場に現れ何かを探しているとの事です。それらしき物を購入する場合きちんと代金の支払いをしているので住民に被害は出ていないようですがそれを取り押さえしようとする衛兵や軍隊には容赦なく暴れまわるそうです」
うーん、お買い物はちゃんとお金を払わないといけないのは守らせているのか。
でも衛兵さんには容赦ないんだ、ミーニャらしいと言えばそうだけど。
「全く、何やっているのよあの子ってば! 『ハーピーの雫』なんてレアアイテムが市場においそれと出回っている訳無いでしょうに」
姉さんは額に手を当てやれやれという雰囲気で首を振る。
ずっと気になっているのだけどそのハーピーの何とかって何?
僕は仕方なく隣にいたエマ―ジェリアさんに聞いてみる。
「エマ―ジェリアさん、そのハーピーの何とかって何なんです?」
ぼっ!
途端にエマ―ジェリアさんは真っ赤になって頭から湯気を出し「きゃーきゃー」騒ぐ。
「ソ、ソウマ君にはまだ早いですわ!! そんなこと知っちゃだめですわ!! お年頃になっても知っちゃだめですわ!! とにかくそんなものに興味を持ってはいけないのですわぁーーーー!!!!」
べちん!
エマ―ジェリアさんにそう言われながら頬を叩かれた。
全く痛くもなんともないんだけど、なんで?
「ちょっと! ソウマに何してくれるのよ!!」
「だってソウマ君がセクハラするからですわ!」
姉さんがすぐにエマ―ジェリアさんに抗議するけど痛くもかゆくもないし、きっと僕がエマ―ジェリアさんを困らせるような事言ったのが悪いんだろうな。
「すみません、エマ―ジェリアさん。余計なこと聞いたみたいで」
「うっ、と、とにかくソウマ君はまだそんな事知らなくていいのですわ! お、大人になってから知れば良いのですの!!」
ぷいっ!
真赤になったままエマ―ジェリアさんはそっぽを向く。
そんな様子をセキさんはからからと笑ってみてるけどシェルさんは学園長さんに指さされた地図の場所を睨んでいる。
「ユカ、ここって水上都市スィーフよね?」
「そうですね、ここでは軍隊の規模が小さく治安維持でさえ苦労しています。そこへ魔王軍の配下が現れたともなれば混乱をするでしょう。シェル、すぐにでも行けますか?」
「分かった。ベイベイ経由ですぐにスィーフに飛ぶわ! みんなすぐにでもゲートでベイベイに戻ってから水上都市スィーフに行くわよ!」
シェルさんは振り返りそう言うのだった。
* * * * *
僕たちは一度ベイベイに戻ってから水上都市スィーフにあると言われているシーナ商会支店にゲートで移動していた。
「ところで前から気になっているんですけど、シーナ商会って支店があちらこちらにありますけど一体全体誰がオーナーなんですか?」
姉さんは何と無しにシェルさんに聞いてみる。
するとシェルさんはニヤリと笑って姉さんに言う。
「ここの本当のオーナーとも呼べる人物は今の女神よ」
「「はいっ!?」」
思わずシェルさんを見てしまう僕たち。
まさかこう言ったお店の経営を女神様がしているの!?
「まあ実際には私たちが助けた身寄りのない子たちを育ててその中で優秀な子に歴代の筆頭の名を継がせてやっているのであの人自体がここへ来ることはほぼ無いわ。よほどの事がない限りね」
シェルさんがそう言うと姉さんは身震いする。
「女神様とあたしって前世で何らかの関係が有るって言うけど今のあたしはそんなの嫌っ! あたしはソウマが良いのぉ~」
「ぶっ! だからって抱き着かないでよ! 息苦しいってば!!」
相変わらず姉さんが抱き着くと大きな胸に顔がうずもれて息苦しい。
ホントいい加減に弟離れしてもらいたいもんだよね!
そんな事言いながら転移が終わる。
「シェル様! お待ちしておりました!!」
すぐさま女性の声がする。
「あら、ゼーラわざわざ出迎え? ご苦労様」
ゼーラと呼ばれたその女性は他のシーナ商会の人と同じような服を着てシェルさんに跪いている。
「シェル様、申し上げます! ただいま魔王軍の者と言うお客様がご来店でしてどう対応してよいか困惑しております。既にイーラ、シータスを呼び控えさせていますが、一応お客様という事で様子を見ているのですが‥‥‥」
はぁ!?
魔王軍がこのスィーフの支店にお買い物ぉ!?
「ちっ! その手が有ったか!! これでは面倒な魔王軍をしばけないわね!!」
「えー、暴れちゃだめなの?」
「セキ控えなさいですわ、シーナ商会はシェル様のお店、ご迷惑をおかけする事は絶対にダメですわ!」
いやいや、そう言う問題じゃ無いんじゃ?
「うーん、確かに『お客様は神様』って言葉もあるわね、先生から習ったけど」
いやいや、姉さんも何言っているの?
僕は思わずシェルさんを見ると悔しそうにしてゼーラさんという女性に言う。
「とにかくお客様であるなら仕方ない、私が直々に接客します! 案内を」
「はっ!」
そう言ってシェルさんを引き連れゼーラさんはそのお客である魔王軍の所へ向かうのだった。
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