第17話1-17ブルーゲイル防衛
ブルーゲイルは人類史が始まって一番最初に出来た都市らしい。
だから街並みは古めかしいものの整然としていて品格も有り歴史を感じる。
「凄いねここって、街並みも何も古いけど」
「そうね、先生から教えてもらっていたけど最古の都市だもんね」
僕と姉さんは馬車の窓から外を見ている。
街の人たちは慌てて逃げ出す準備をしている人がいるけど、この街の衛兵の人かな?
何か叫んでいるとみんなその話に耳を傾けそして両手をあげて喜んでいる。
「既に王城に連絡が行き街にもその話が伝わったようですね。住民たちがシェル様やセキ様、エマ―ジェリア様の名を称えております」
「うーん、あんまり期待されちゃうと困るんだけどね。まあ今回はセキたちに大体は任せるけど」
シェルさんは窓の外を見ながらそう言う。
「お任せくださいですわ! 私とセキがいれば魔王軍何てすぐに片付けて見せますわ! だからシェル様、終わったらご褒美くださいですわ!!」
エマ―ジェリアさんはシェルさんに抱き着いてニコニコしている。
「エマ、あんたちゃんとサポートしてよね? あたし最初から飛ばすからね?」
俄然やる気のセキさん。
僕たちはその様子を見てつくづく思う。
なんか楽しそうだなと。
「ソ、ソウマはお姉ちゃんから離れちゃだめよ? 出来ればお姉ちゃんにしがみついてくれると嬉しいんだけど‥‥‥」
「そんなことしたら姉さんが動けなくなっちゃうでしょ?」
エマ―ジェリアさんがシェルさんに抱き着いているのを見てうらやましそうに僕を見て言う姉さん。
でも戦いになったらそんな暇ないでしょうに。
「ううぅ、ソウマのいけずぅ‥‥‥」
そうこうしているうちに馬車は合戦の声が聞こえる近くまでやって来たようだった。
僕たちはすぐに窓の外を見る。
「何あれ? アークデーモン?? うわぁ、いっぱいいるわね!」
「ア、アークデーモンですの!? 魔王軍はそんな上級の悪魔を使役しているのですの!?」
姉さんのその言葉にシェルさんに抱き着いていたエマ―ジェリアさんは驚き一緒に窓の外を見る。
まだ遠くだけどアークデーモンって羽があるから空も飛べるんだよね。
あの急降下して体当たりしてくる攻撃はなかなかきついんだよなぁ。
僕もたまに村に湧いて出るアークデーモンにいじめられるけど、まだ喧嘩で勝った事無いんだよなぁ。
「何怖気ずいているのよエマ! あんなのはモノの数にもならないわよ!」
「まあセキだったら片手で始末できるでしょうね? エマ、いい機会だからセキとの連携をもっと学びなさい。上手く行けばご褒美上げるわよ?」
途端にエマ―ジェリアさんは馬車の中に戻ってシェルさんに抱き着く。
「本当ですのシェル様!? だったらエマ張り切ってやらせていただきますわ!!」
また一人やる気満々の人が増えた。
僕は一人内心ため息をつく。
うーん、僕ってみんなの足手まといにならなければいいけど。
そんな僕の心配を他所に馬車は戦場に到着する。
すぐに馭者が扉を開けて僕たちを降ろす。
「ではシェル様、お願い致します」
ミューさんはそう言って馬車共々引き下がる。
「さて、始めましょうかしら? 真打登場ね!」
そう言ってシェルさんはいきなり精霊魔法を発動させる。
それは風の刃で上空を飛び回るアークデーモンたちを一瞬で切り刻む!
「す、すごい! シェルさんってやっぱりすごいや!」
「じゃあソウマ、あたしも突っ込むからね! エマサポートお願い!!」
「わかりましたわ! 聖なる光よ、この者を守りたまえ! 【神聖爪】ホーリーネイル!!」
ポンと僕の肩を叩いたセキさんはエマ―ジェリアさんのサポート魔法を受けて両の手を輝かせ一気に混戦の中に飛び込む。
「援軍だ!! 『爆竜のセキ』様と『聖女』様、それに『女神様の伴侶シェル』様が加勢してくれるぞ!! 全軍引けぇっ!! とばっちり喰らうぞ!! 死んじゃうぞぉっッっ!!!!」
なんか向こうで戦っていた兵士たちが涙目で戦場から我先に逃げ出す。
良いのそんなので?
僕がそう思っているとその答えはすぐに出た。
ざしゅっ!
びゅううぅぅぅ‥‥‥ ずばずばっ!!
「はいっ、次【神聖浄化!】ホーリーウォッシング!!」
えーと、目の前に惨殺されているアークデーモンたち。
セキさんの乱舞で地上のアークデーモンたちは次々と紙を破るかのように引き千切られ、上空を飛んでいるアークデーモンはシェルさんの精霊魔法で血の雨を降らせ、その不浄なものやまだ息の根のあるアークデーモンはエマ―ジェリアさんの神聖魔法で光の粒子に浄化され消えていく。
「す、すごいわね。村でもこんなにすごいのは見た事無いわ!」
「ほんとだ! あ、でも姉さん抜け出したのがこっち来るね?」
「それは任せて! はぁぁぁっ、ガレント流剣技五の型、雷光!!」
ざんっ!
姉さんはその場から瞬時に消えて向こうからやって来るアークデーモンの後ろに姿を現す。
そして剣を振るとそのアークデーモンは袈裟切りに体をずらしその場に倒れる。
「流石は姉さん!」
「ソウマっ! 上っ!!」
僕が姉さんを絶賛していると真上から黒い影が?
「えっ!?」
僕の驚きの声が上がった。
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