第10話1-10地竜討伐
やわらかい日差しの中、問題があると言う村にまで行ってい見るとほのぼのとした村に焦げ臭い匂いがしていた。
「あら、被害出ちゃってるのかしら? 焦げてるわね??」
「のようですね、鎮火はしている様だけど所々焦げてますね?」
シェルさんや姉さんは村の様子を見て言う。
いや、焦げてるってレベルじゃないような気がするのだけど。
だって柱しか残ってないよ?
しかもほとんどの家が焼かれてるよ?
「も、もしかして地竜討伐に来てくれた冒険者の方ですか?」
焦げるどころか壊滅状態の村を一望していた僕たちに声を掛けてくる人がいた。
振り向き見ると所々が焦げたおじさんが立っていた。
「はい、ギルドから討伐依頼を受けて来てみたんですが‥‥‥」
「おおおぉ、どうか、どうかあの地竜を退治してください!! あいつのせいで村は壊滅です!! この先どうしたらいいのか‥‥‥」
そのおじさんはおよよよよぉ~と泣き崩れる。
確かに家が無くなっちゃったら大変だもんなぁ。
「それで、あなたは誰? 他の村人は?」
シェルさんはもう一度周りを見ながらそのおじさんに聞く。
「はい、私は村長のマクロと言います。地竜が襲ってきたので皆慌てて逃げ出したので死人は出ないで済みました。皆はこの先の丘の上にいます」
そう言ってそちらを指挿すと地竜らしきのが暴れている。
「あ”っ!?」
マクロさんはビキっと石化して固まる。
「死人が出たら大変だわね、フェンリルお願いね。ソウマ、風の守りをかけてあげるからちゃっちゃとやっつけて来なさい」
そう言ってシェルさんは僕に精霊魔法をかける。
姉さんは既に走り出しているので僕も慌ててそれに続く。
でもやっぱり早い!
本気の姉さんはまるで風のように向こうに見える丘まで走っていく。
僕も強化魔法を使って何とかそれに続くけど、見えてきた地竜って本当に火を吐きながら暴れまくっている。
「ソウマ、村人の避難をさせて!!」
姉さんはそう言いながらなぎなたソードを引き抜く。
「うわっ、皆さんこっちです! こっちに来てください!!」
僕は言われた通り村の人たちを安全な方へ誘導する。
「うわッっちゃあぁっ!! 熱いっ!!」
村人が逃げる間、姉さんは地竜の注意を引き付ける為に動き回っているけど吐き出す炎の範囲が意外と広い。
「姉さん! みんな逃げ終わったよ!!」
「よしっ! ‥‥‥あ”ぁーっ!! 髪の毛焦げてる!! よくもやってくれたわね!!」
器用に炎を避けていた姉さんだけど高温のそのブレスのせいで髪の毛が焦げたようだ。
姉さんはわなわなとしてなぎなたソードを握りしめる。
「よくもやってくれたわね! 髪は女の命! それを焦がすなんて許さない!! 【紅蓮業火】!!」
怒った姉さんはいきなり姉さんの最大魔法を発動させる。
それは姉さんを炎の柱で包み姉さんの怒りに比例するかのように豪快に燃え上がる。
「あんたの鱗も焦がしてやる!!」
びくっ!
あまりにも姉さんの怒気が強いのか、地竜は脂汗を流しながらたじたじと尻込みを始める。
「ふん、今更謝ったって遅いわよ! 何よ、ヒドラよりちょっとデカいからって威張らないでよ!!」
そう言って一気に踏み込む。
慌てた地竜はドラゴンブレスの炎を吐き出すけど姉さんを包む炎の柱に阻まれる。
そして姉さんは地竜にげんこつで殴りつけた。
ばきっ!
「びぎゃぁーっ!」
「泣いても許してあげないんだから!!」
ぼこぼこぼこっ!
ああ、ね、姉さんその位でやめてあげないとあの大きな地竜涙流して尻尾丸めて震えてるよ‥‥‥
「ふんっ、この位で泣くなら最初から威張るんじゃないわよ!!」
そう姉さんが言った時だった。
ドスン!
丘の更にむこうから更に三体の地竜が現れた?
「がおあぉーっ!」
「がおがおがおぉー!!」
「ぐがぁぉ――!!」
なんかこっちを、姉さんを見ながら吠えている。
威嚇しているのかな?
「あらあら、よくも舎弟をやってくれたな、この落とし前どうつけてくれるのか、お前がその体で払えですって? 何こいつら、この辺のチンピラ竜かしら?」
シェルさんは僕の隣にまでいつの間にかやって来ていてそんな事を言う。
「あ、あのシェルさんってもしかして地竜の言葉がわかるんですか?」
「ええ、魂の隷属している子が大元の同じ魂に繋がっているので竜の言葉なら分かるのよ。しかし、何なのあの地竜? ほんとチンピラみたいね」
三体の地竜はボコボコにされた地竜と姉さんを取り囲む。
姉さんは魔法を解除してなぎなたソードを突き付け叫ぶ。
「なんだか知らないけど、売られた喧嘩なら買うわよ!? よくもあたしの自慢の髪の毛を焦がしてくれたわね!! 毎晩ソウマにブラッシングしてもらっているというのに!」
でも姉さん枝毛が増えたから少し髪の毛切った方が良いよ?
焦げたからこの際大人しくその位を切った方が良いと思うんだけどなぁ。
「がおがおがぉおおおぉ?」
「がおーっ!」
「がががががががぁ!」
またなんか言っている。
思わずシェルさんを見ると眉間にしわよせて言い始める。
「良い女じゃねえか、うまそうだぜ、 兄貴やっちまいましょう、 はははっ、うまそうな肝は俺様がいただくぜ、って言ってるわね? ソウマ、流石に数が多いから行って手伝ってやりなさい」
シェルさんはそう言ってポンと僕の背を押す。
ふわっと香る森の香り。
何となく僕はうれしくなって姉さんのもとへ走り出す。
「姉さん! 僕も手伝う!」
「えっ!? あ、そ、ソウマぁ? て、手伝ってくれるの? ううっ、うれしいっ! ソウマがお姉ちゃん手伝ってくれるの!?」
急いで駆けつける僕に姉さんはそう言って抱き着いてくる。
「ぶっ!」
顔面を思い切り姉さんの大きな胸にうずめられる。
「もうぅぅぅぅぅっ! 可愛いんだからぁ!!」
ぎゅ~っと抱きしめられると本気で呼吸困難になる。
僕はもがき手足をバタバタとする。
「がおっ! がおがおっ!」
「がおぉぉ~ぉ」
「がっ、がおがおがおっ!!」
「うっさいわよ! せっかくソウマが手伝ってくれるって言ってるのに! 【紅蓮業火】!! 行くわよソウマっ!!」
やっと放してくれてまたまた姉さんの最大魔法を展開するけど、なにこれ?
炎の柱が更に激しく燃え上がっている!?
「うらぁぁああああぁぁっ! 愛の力に屈しなさい!!」
姉さんは素手で正面の地竜に殴りかかる。
それを器用にバックステップで避ける地竜。
そんな姉さんの横から他の地竜がかみついて来た!
「あぶないっ! 姉さん!!」
ざんっ!!
思わずその地竜の攻撃をぼくは 姉さんからもらったショートソードで切りつける。
するとあっさりと地竜の首が飛ぶ。
「あらっ! あれのショーゴのセブンソードじゃない!?」
シェルさんが後ろで何か言っている。
僕は地面に降り立ちその剣を見る。
銀色に錆一つ無いこの剣はうっすらと光っているかのようだった。
「ありがとうソウマ!! よぉおおぉっしぃ、喰らいなさぁいっ!! ガレント流三十六式が一つチャリオットぉっ!!」
姉さんは炎の柱を身にまとったままガレント流無手三十六式体術で必殺の体当たりをかます。
ぼよんっ!!
姉さんの大きな胸に弾かれ残りの二体の地竜はあっさりと弾き飛ばされる!
「がおぉぉおおおおぉっっ」
「がおがおぉ~っ!!」
どばったぁーん!!
ざっ!
姉さんは二匹の地竜を吹き飛ばし地面に着地する。
既に吹き飛ばされ地面にたたきつけられている地竜たちはぴくぴくとしている。
と、シェルさんが地竜たちのもとへと行く。
「さて、あなたたちこのまま殺されるか言う事聞いて大人しくするかどちらがいい? ちなみにあたしを騙すと黒龍と赤竜をけしかけるから地の果てまで追って行って落とし前をつけるわよ?」
「がっ!?」
「がおっ!?」
「が、がおがおぉ~」
どうやらシェルさんの言葉が分かるようで生き残った三匹の地竜はその場で土下座している。
「あらずいぶんと素直ね? まあいいわ、大地の精霊よ!」
そう言ってシェルさんはまた精霊魔法を使う。
しかし特に変わったことは無い。
「大人しくするようだから今後人間を襲わなければ許してあげる。でも私との約束を破れば大地の精霊がすぐに教えてくれるわ。その時は分かっているでしょうね?」
すると地竜たちは脂汗をだらだらとかきながらこくこくと頷く。
「生き残ったのは行っていいわよ?」
そう言うと地竜たちはくるっと後ろを向いて一目散に逃げて行った。
「あ、逃がしちゃって大丈夫なんですか?」
「大丈夫、もう人間には危害を加えないわよ。それに何でもかんでも殲滅しちゃったら世界のバランスが悪くなるもんね。そう彼女も言っていたし」
ねえさんは「はぁ‥‥‥」とか言って生返事をしている。
でもシェルさんがそう言うのだからもう大丈夫だろう。
僕は切り落とした地竜の首を見る。
まあ、あの時は真剣だったから仕方ないけどちょっとかわいそうな事しちゃったかな?
「おお、ありがとうございます! おかげで命拾いしました」
とりあえず落ち着いた頃村長さんのマクロさんがやって来た。
そしてその後ろに村の人たちも。
「とにかく無事の様で何よりでした。もう地竜たちは襲ってこないですから安心してください」
姉さんがそう言うと村の人たちは大きな安堵の息を吐く。
そして姉さんに感謝をするけど、僕にもみんながお礼を言ってくれる。
「僕は姉さんの手伝いをしただけで‥‥‥」
「何を言うんだい、君凄いよ! 地竜の頭を一撃で跳ね飛ばすなんて!」
「そうだよ、こっちのお嬢さんもすごいけど君もすごかったぞ!」
わいのわいの
なんか照れるけどそうか、こんな僕でも地竜をやっつけられたんだ。
これって姉さんたちに鍛えられたお陰かな?
「あ、あの、君って何て名前なんですか?」
「え、ああ、僕はソウマって言います」
きゃーっ!
なんだろう、何人かミーニャくらいの女の子が黄色い声を上げる。
僕は首をかしげてその子たちを見ると赤くなってこっちを見ている。
ばっ!
「ぶっ!!」
「ソ、ソウマ駄目だからね! 他の女の子と仲良くなっちゃだめだからねぇっ!!」
いきなり姉さんが抱き着いて来た。
そしてまたも窒息しそうになる僕。
何故か村の男の人たちがうらやましそうに僕を見ているけど、やっぱり強い姉さんがいるのがうらやましいのかな?
ちょっと誇らしく感じる僕。
結局その後姉さんのポーチに地竜の死体を納めてシェルさんが精霊魔法で村に住める家を建てて僕たちは街に戻ることにした。
なんか出来上がった家々が凄い事になっているけど、大木に家が飲み込まれたような感じでちょっとうらやましいかも。
良いだろうなぁ木の香りがして木の中に部屋があって秘密基地みたいで。
「さて、これで良しっと。さあ早い所街に戻って報告していよいよボヘーミャに向かって出発しましょう!」
そう言うシェルさんに僕たちはくっついて街に戻るのだった。
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