今では活気が乏しくなってきている商店街も増えたが、作中で登場する商店たちは弛まぬ努力を日々続け、近所の住人たちに癒しと活力を与えていた。しかし、その平和に緊張が走った。街に住む人々の不安が高まり、糸口を掴めない悩みは募るばかりなりけり。
ただ、商店街の治安を守る有志たちも黙ってはいない。それぞれの個性を活かし、色々と手を尽くして平和を取り戻そうと東奔西走する。遂に解決の欠片を手にするが、そこで判明した不穏の元凶は‥‥‥。
ワクワクは、解決に至るまでの仕掛け。ドキドキは、登場するキャスト陣の恋模様。大作「アドラメレク」を知る読者なら、その期待感は更に高まると言っても良い。なので、オススメは「アドラメレク」を完読の後。
(もちろん、この作品を単体で読んでも面白い)
キャストの個性が一つ一つ丁寧に描き出されてあるので、感情移入もしやすい。特に会話文でそれぞれの魅力が引き出されているのが凄い。あんなセリフ、なかなか思いつかない。
キャラの作り方、会話の入れ方、会話する相手によりけりの心の機微、読むばかりでなく書く者として学べた要素の多かった作品です☆
商店街を舞台に、五人の若者からなる幼なじみグループ「南町ファイブ」が暗躍!
五人と、その周辺の人々からなる青春模様。それぞれの恋愛、人生について…などを横軸に、商店街で多発する事件を見事なチームワークで追跡する活躍ぶりが描かれます。
とにかく五人(+α)の仲がとてもいい。ほどよい馴れ合い感と互いを思いやる空気。ほっこりします。
それぞれがエピソードごとに主役を交代するシステムで、つまりはそれぞれが主役を張れるくらいに個性的で、深いエピソードを持っているのです。
もちろん、タイトルにある「ぬすっと武田猛」も。
最初は、単なる万引き事件のはずだった。が……
そこには、常識では計り知れない、ある都市伝説めいた存在が絡んでいた――
作者による長編『アドラメレク』からの流れがここに繋がります。
あれだけ世間を騒がせたオカルト的存在「アドラメレク」が、その先にたどった運命とは?
本作は『アドラメレク』を未読の方でも十分楽しめます…が、読んでおくとよりいっそう楽しめると思います。
それぞれが、傷つき悩みながらもそれぞれの幸せをつかんでいく。読了後、爽やかで穏やかな時間が訪れます。
あなたも、活気あふれる南町商店街の様子を、彼らと一緒にちょっと覗いてみませんか?
とある商店街で発生した連続万引き事件。
それに立ち向かうのは幼馴染五人組の商店街メンバー。
事件を追っていくにつれて明かされていくのはオカルトめいた不思議な真相。
というちょっと不思議な筋立てのドラマです。
が。これがとにかく面白くてすごく引き込まれます。
舞台はあくまで平和な商店街の日常。
そこにスルリと紛れ込む不気味な都市伝説。
この二つが混ざっていく過程が実にリアルに感じます。
主役は前述の五人。それぞれの曜日ごとで視点が変わり、事件が語られていきます。この構成がまた抜群に面白い。
さらに五人それぞれのキャラクターが個性的で、考え方もバラバラ。みんなが胸に悩みを抱えつつも、お互いを補完し合うようなチームワーク。この辺りのエピソードがコメディーたっぷりでとにかく楽しく読ませます。
また土曜日・日曜日では意味深なキャラクターが登場し、ミステリーの雰囲気たっぷりに物語の謎を深めていきます。
最初はただの万引き犯の捕獲ミッションだったのですが、事件は意外な展開を迎えていきます。
その過程で彼ら五人の過去が語られ、現在が語られ、濃密な人間ドラマが展開していきます。
物語は終始明るい雰囲気で流れていくだけに、この深みが圧倒的に胸に迫ってきます。
人の強さ、弱さ、明るさと暗さ、そう言ったものが大きな流れになって物語を包み込んでいくのです。
そして物語は驚愕の結末へと突き進んでいきます。
ここはもうまさに圧巻!
ラストのラストは肉弾戦のバトルではないものの、それ以上に息もつかせぬ迫真の戦いが待っています。
コメディーとホラーと青春とミステリーと、その他いろいろを商店街の中いっぱいに詰め込んだ傑作。
本当に面白い作品だし、もっともっとたくさんの人に読んで欲しい!