第356話 久しぶりの再会。
リュック総統に別れを告げ、アーレイはデルタの屋敷に戻って来た。
タイラー)「アーレイ様〜!タタタ、バッ!ぼよ〜ん」
アレーイ)「グフォ!、いきなり飛び込んでくるな!」
タイラー)「だって、キスしたいんだもん!」
フローレンス)「相変わらず直球ね・・私は恥ずかしくて真似できないわ・・」
タイラー)「ネッ、しよ!」
アーレイ)「王族としての嗜みはどうした」
「今は庶民のタイラーです!」
「それなら、側室じゃないな」
「ひっどーい!プン!」
チュ!口を尖らせたタイラーに軽く口付けをするアーレイ。
タイラー)「もうもう、もっといっぱいして!」
アーレイ)「後でな」
「・・・ケチ」
アーレイが娶ると宣言してから更に遠慮しなくなったタイラー。
フローレンス)「うわぁ〜、こりゃタイラーが加わったら争奪戦だわ・・(小声」
アーレイ)「それで、王族の礼儀作法とか終わったのか」
タイラー)「はい、色々揉めましたが部族長の了承を得ました、後は王位継承を行うだけです」
「王位継承は問題ないの?」
「それが・・レナルドの支援者たちが」
アデール)「大丈夫よタイラー、色々煩いレナルドの支持者は抑え込んだから」
タイラー)「ありがとうございます」
アーレイ)「タイラー、悪いが結婚式はまだ先になる」
「えっ、なにそれ〜、まだ知らされてない側室がいっぱいいたのですね」
「なぜそうの思考になる!」
「明日、略式で結婚しましょう!」
「少し落ち着いたらね、今準備で忙しいんだよ」
「そんなに盛大な結婚式を行うのですか?」
はぁ〜・・頭を抱えるアーレイ・・。
タイラー)「嘘です、ちゃんと聞いてます」
アーレイ)「良かった・・今からフローレンスと作戦本部に行って魔法部隊の出撃準備をしてくれないか」
「わかりました、アーヴィンとディスティア両方の首都でお使いになりますか」
「いや、ディスティアだけだ、王宮の模型を作ってあるから、機甲歩兵と一緒に訓練してくれ」
「はーい!」
ちょっと残念そうに敬礼をするタイラー。
アーレイ)「部隊長を務めることになるので、君の階級は少佐に変更してある」
タイラー)「少佐ですか!」
「頑張ってくれたまえ」
「はーい」
フローレンス)「さあ行きましょう」
フローレンスとタイラーはローレンスに乗り込み作戦本部に向かった・・。
アデール)「私はお留守番ですね」
アーレイ)「作戦が始まったら、クーン王立病院を傷病者受け入れ先として臨戦体制を取ってもらいたいんだ」
「わかりました」
「アデールにはそっちの戦争に加わって貰いたい」
「はい、お任せください!」
アデールをクーンに送り、デルタに戻ったアーレイは随分前に制作したが、星団法に引っかかりお蔵入りになってた小型特殊船を運び出していた。
マドック)「この船使うのですか?」
アーレイ)「そう武装を取り払って作業船としてな」
マドックの目の前には20隻の特殊船”桜花”が整備のため運び出されようとしていた。
マドック)「今から装備を取り外すのですね」
アーレイ)「そうだ、武器が無ければ星団法には引っかからない」
桜花は業火シリーズとは違い平べったくステルス性能を重視したデザインを取り入れている。
マドック)「それなら大丈夫ですね」
アーレイ)「インターセプターでは見つかる厳しい場所で使うつもりだ」
「烈波で運びますよね」
「そのつもり」
桜花を秘密裏に運び出し武装解除を始める。
マドック)「ライナスから連絡が入りました、未整備のインターセプターをラインに持ち込んだと」
アーレイ)「良かった、これでアイツらを死なせずに済む・・」
ーー
クリス)「アーレイ、インターセプターの出撃命令を出したぞ」
アーレイ)「ありがとうクリス」
出撃命令が出されたインターセプターは既に烈波の甲板に固定されていた。
マドック)「烈波の甲板に綺麗に並んでいますね」
アーレイ)「うん、強うそうに見えるわ、このインターセプターはカルネ行きだけどね」
烈波の甲板に斜めに並ぶインターセプター200隻、スケルトン弾倉の様に見えてしまった。
同じ頃・・。
キース)「遅い!タイラー隊長」
タイラー)「はいー、ホヘェ、ホヘェ」
慣れない装備品を装着し、やっと何とかドタドタと走るタイラー。
キース)「なんだこの足の遅さは!」
一応ランニングは行ってるタイラーだが、戦闘装備品の重さが仇になって足取りが重い・・。
タイラー)「だってスピードブーツを履いてないんだもん!」
キース)「あのな普通、司令本部などは反重力キャンセラーの床だから使えないのだよ」
「知らんかったわ〜」
「はぁ〜」
タイラー)「もう、これいらない!」
カチャカチャ、ボヨン、防弾、魔法防御を兼ねたベストを脱ぎ捨てる!
キース)「・・・」
タイラー)「防御魔法があるのでベストは不要です!」
隊員)「隊長〜ずるい〜」
「あなた、防御魔法使えないから脱がないでね!」
「ええ!!」
キース)「タイラー隊長、シールド無効化エリアでも大丈夫なのか?」
タイラー)「はい、問題ありません、私が防御して密集陣形でいきましょう」
「気持ちはわかるが、君が負傷したら総崩れになるぞ。ふむ、だがそんなに防御がすごいのか?」
「私がやられるなら、歩兵部隊もだめですって!試してみますか?」
「実弾でか?防御の時間はまさか10分なんて言わないよな」
「ええ、問題ありませんよ~、そうですね魔力消費が少ない探査魔法と併用すれば1時間は平気かと」
「実際の作戦は突入して30分が勝負だからな」
「それではCQBエリアで試しましょう!」
「お、おう」
こうして魔法部隊と歩兵の模擬戦が始まった・・。
タイラー)「それじゃ〜、防御の範囲に入ってね〜」
隊員A)「はーい」
隊員B)「みんながんばろー」
隊員C)「はーい」
どこか軍隊らしくない魔法部隊。
ブン!探査魔法を発動するタイラー
タイラー)「この先左側に3人、右側に5人いるよ〜」
隊員)「はーい、場所確認しました〜、曲撃ちアロー放ちまーす」
ヒュン!女の子が放ったアローは通路を進むといきなり右に曲がり、隠れている歩兵に命中する。
兵士A)「バシ、イタタ」
キース)「ホーミングだと!おい、魔法阻害粒子を拡散!」
兵士B)「はい!」
カチャ、バフン!ロケランで撒かれた阻害粒子は単純に生体エネルギーを粉末状に固めた物だ、撒けば探査の精度が下がる。
タイラー)「ありゃ、阻害粒子が撒かれましたね」
隊員C)「隊長!みんなで固まって突撃ですね!」
タイラー)「じゃ、行くよー」
隊員達)「おー!」
魔法部隊の5人はタイラーの防御魔法で守られた状態で突撃していく・・・。
キース)「突撃だと・・」
10分後・・・。
隊員B)「バインド!」
兵士C)「うぎゃ!」
隊員C)「隊長〜、最後の1人でーす!」
キース達歩兵部隊はまさかの突撃攻撃に晒され、反撃虚しく全員バインドで身柄を拘束された・・。
タイラー)「よし!歩兵部隊殲滅確認!」
キース)「まさか突撃してくるとは・・」
「位置をロストしたらとりあえず前に出て確認しないと駄目でしょ」
「それはそうだが、だが弾丸全く効かないなんて」
「言ったでしょ、効かないって」
「今の攻撃方法だと、防御魔法は何分繰り出せる?」
「えーと、20分くらいですかね、ひっきりなしに撃たれたので張りっぱなしでした」
「うーん、やっぱアーマー付けた方が良いかな・・」
「いや!」
隊員)「隊長〜、装着してくださいよ〜」
フローレンス)「次は私がフォローしながら訓練しましょう」
反省会の最中に割り込んできたフローレンス、彼女は実践経験がないのでCQBエリアを上から見学していたのだった。
タイラー)「フォロー?」
フローレンス)「ええ、攻撃魔法は防御より消費が少ないので、途中タイラーに魔力補給します」
「うんうん、そうすれば長い時間戦えるね!」
キース)「反則・・・」
15分後・・・。
タイラー)「はい、歩兵部隊殲滅確認!」
フローレンス)「この魔法防御ベストを相手にするのは少し大変かも」
キース)「嗚呼・・酷い」
タクティカルベストの間からプスプスと煙を出して倒れているのはキースだった。
タイラー)「あの魔法はアデール様から教わったのですか?」
フローレンス)「そうよ、アーリー様とアデール様よ」
「わわ、最強の2人・・」
「ふふ、剣技も習得しましてよ!」
「ガーン、いつの間に・・」
「ミーシャさんとジャガーさんに手ほどき受けました」
「私も剣技習おうかしら・・」
本気で悩んでいるタイラー。
フローレンス)「時間もかかり結構大変ですよ、今は魔法部隊をまとめ上げてください」
タイラー)「そうね、今はそっちが重要ね」
こうしてタイラーとフローレンスがコンビを組んだ最強魔法部隊が動き出した・・。
アーレイ)「ほれ、フローレンスこの剣を使って」
様子を見に来たアーレイは一振りの剣をフローレンスに渡す。
フローレンス)「これは?」
アーレイ)「護身用の剣だよ、俺の儀礼用の剣を作り直した時に注文したのさ」
「ありがとうダーリン!」
それはフローレンスの腕力を考え取り回し重視、考え少し短めで太刀自体は日本刀の様な細身でとても軽い剣だ。
フローレンス)「この鞘って可愛らしい!」
キラッっと光るのは、黒い鞘の表面に可愛い金色の花柄の装飾が施してあるからだ。
アーレイ)「実用品だからガンガン使ってね!」
フローレンス)「ええ、勿体ないです〜」
魔法部隊はこの後、入念なシミュレーションを繰り返し出撃を待つばかりだ。
ーー
数日後・・。
ピポ!、アーレイのモジュールにウィンから連絡が入る。
ウィン)「アーレイ様、エナジーボールの準備が出来ました」
アーレイ)「ありがとうウィン」
「いえ、ブラッド様のお陰で間に合いました」
「急ぎで悪いが、今から輸送艦を向かわせる」
「はい、承知しております」
「頼んだよ」
「はい」
エナジーボールをデルタに運び先発隊の出発式を始めた・・。
兵士)「アーレイ准将入りまーす」
ザッ、一斉に気合いの入った敬礼をするのは総250名の猛者達、もちろん全員志願兵だ。
アーレイ)「お前ら準備はいいか!」
「イエッサー!」
アーレイ)「最初に悪いニュースから話す!」
「イエッサー!」
「予定していた特殊船”桜花”が全て準備出来なかった」
「イエッサー!」
「良いニュースはインターセプターが予定より多く配備できたので、先発隊は作業が終わったらのんびり待てるぞ!」
兵士A)「ヒュー!」
兵士B)「やった〜!」
ライナスが整備前のインターセプター50隻をラインスラストに持ち込み、昼夜問わず突貫で仕上げたのだった。
アーレイ)「先発隊は輸送艦に桜花とボールを積んでラインに向かい、烈波に乗り換え墓場に向かう様に」
「イエッサー!」
アーレイがラインスラストに立ち寄った理由は、未整備のインターセプターの整備協力を得る為だった。
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