第2話 大手クランの雑用係になる
俺は日課の薬草を摘みに森へ出かけたは良いが、レッサードラゴンに出会ってしまった。
そこへ、何者か知らないが豪華な装備に身を包んだ青年が割って入った。
「ここは俺に任せて避難しろ」
「じゃ、任せた」
俺は少し離れた場所で見物する事にした。
「ブルースラッシュ」
青年は剣を振りかぶるとレッサードラゴンに叩きつけた。
粉々になる剣。
おー、凄い。
レッサードラゴンのウロコが硬いのも驚きだが、剣を粉々にするパワーも凄い。
流石、儲けているであろう冒険者様だな。
「強酸砲」
青年が片手突き出し、水のような物を発射。
しぶきが掛かった地面から白煙が上がったところから見るに強酸なのだろう。
こいつは覚醒者だな。
どんなスキルかは分からないが、絶対にそうだ。
レッサードラゴンは強酸をものともせず手を振り上げ薙いだ。
青年の胴体に爪が当たり青年は錐揉みして倒れた。
「故郷のみんな、仇の盗賊が討てなくてごめん。実力が及ばな……」
あー、やられちまったよ。
しょうがねぇな。
「【ローン】パンチ」
筋力と防御を1000人分と瞬発を10人分と念じた。
稲妻の速さで動き、俺はパンチ一つでレッサードラゴンを粉砕。
ステータスと念じる
――――――――――――――
名前:アカジ LV14
魔力:54
筋力:1 返済中
防御:1 返済中
知力:58
器用:67
瞬発:1 返済中
スキル:ローン LV4
――――――――――――――
レベルが五つ上がっているな。
2分ほど固まってから俺は声を掛けた。
「おーい、生きているか」
地面には胴体を無残にえぐられた青年が横たわっていた。
パンチ一つでやっつけられるのなら、早く助けてやれと無責任な者は言うだろう。
しかし、冒険者は自己責任。
勝ち目のない魔獣に戦いを挑んだのが悪い。
「ひひひ、見たぞ」
「どっから出てきたんだ、婆さん」
「お前こそ、クラン・ヴァルドに光明をもたらす男」
「駄目だ話を聞いてない。じゃ、俺は行くから」
「薄情な奴だ。怪我人を放っておくのかい」
「ありゃ助からんだろう」
「こいつを掛けてやりな」
婆さんは収納バッグから樽ほどのポーション瓶を取り出した。
「何だい。この馬鹿でかいポーションは」
「スライム回復液だよ」
「力仕事は苦手だ」
「【鑑定】ははーん。見えたぞい。返済中とな」
「くそう、知られてしまったか」
「お主、ヴァルドに入れ。さすれば今日の事とか。スキルの事とか黙っておいてやる」
「選択肢は無いようだな」
とほほ、今日は厄日だ。
レッサードラゴンには出会うわ。
厄介な所に目を付けられるわ。
「ところでばあさんこの男に回復液を掛けてやらなくていいのか」
「半日ぐらい放っておいても死にはせん」
「さいですか」
3時間ほどその場に留まり、青年にスライム回復液を掛けてやった。
えぐられた胴体がみるみるうちに元通りになる。
へぇ、凄いもんだ。
「はっ、レッサードラゴンは」
「それならお主が相打ちでやっつけたじゃろ。ほれジュエルスター。助けてくれた人にお礼を言わんか」
「どなたか存じませんか。ありがとうございます」
「いや、良いって」
「私はバイリーです。通り名はジュエルスターです」
「おれはアカジ。通り名は言いたくない」
「良いですよ。ギルドに行ったら、誰かに聞いてみます」
「分かったよ。通り名は無様クズだ」
「武力で斬る魔物で
「いや前借りの借金で、駄目な奴のクズ。だから言いたくなかったんだ。恰好悪いのなんのって」
「よろしく、
「ところで、ジュエルスター。お前の体はどうなっている」
「スライムを寄生擬態させてます」
「もしかして体全体をか」
「ええ、脳みそ以外」
「人を辞めてるな」
「まあ、そのおかげでSランクですけど」
「ふーん。もしかしてクラン・ヴァルドに所属しているのか」
「ええ」
クラン・ヴァルドと言えば大手だ。
ところでそこで俺は何をすりゃ良い。
大物を狩ってSランクになるのは駄目だ。
何せスキルの事を知られたら、名を上げる為、功名に走った冒険者に狩られるのがオチだろう。
返済中中はおもいっきり雑魚だからな。
「じゃあ、今日から同僚だな。ところで婆さん、俺は何をするんだ」
「そうじゃな。雑用係をやってもらおう」
「それなら俺にもできそうだ」
この婆さんの事だから、ただの雑用係には使わないと思う。
たぶん危ない現場に連れ出されるのだろうな。
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