真実のリンゴ

jen

はじまりはじまり


「コゥらクソガキまたおまえらかぁ!!💢」


絵に書いたようなバイキングの角の生えた兜をかぶった、太った大男は、いさんで、自身が経営するパン屋から犬のように、軒先へと飛び出してきた。


「ぎゃははははははは!おーい!おーい!」


金色の街、エデンハークに、カン高く、よく響くこぎたらしい子供たち声。子供たちは、鼻水と汚れでいっぱいのきたない顔をあふればかんりの太陽のようにパンでぷっくらとふくらませ、一目散かけていく。


「フ……フフフフ」


バイキングの兜をかぶった大男は、その様子を、少しあきれたように、そしてやれやれといわんばかりに、両の手のひらを仰向けに、店中へと戻っていく。


「うまくいっているようね」


店中、おいしそうに並ぶパンを眺めながら貴婦人は、静かにそういった。


バイキングの兜をかぶったその者は、なにも言わず黙々とパン造りの作業に、没頭する。


「アントワネット様その者たちに、我々は……」


貴婦人の執事らしきその者は、顔くもらせる。


「アントワネット様そろそ……」


「ぎゃははアントワネット!アントワネット!」


先の子供たちが再び店中へと戻り、貴婦人の周りを指先回りだす。


「ねぇゴンザレス、ここに、アントワネットがいるよ。ねぇアントワネットがいるよ。ねぇゴンザレス。」


「ええいうるさい!うるさいわっぱども!腹は、もうふくれたろう!だったらもうさっさと出てってくれ!」


バイキングの兜をかぶった大男は、ひどくいらついた口調でそういった。


「ごめんください。サー・アントワネットは、ここで……」


ひどく冷たい目をしたその男は、あきらかに、その国の、ものでは、ない、黒い髪を束ね、そして、なにより、見たこともないような細い長い長剣を左手に、もっていた……


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