第4話・説得

首と手を同じように振り、拒否を訴える。

が。

『まあ?別にこの“どうしようもない”身長差を日々感じながら生きていきたいのならば構いませんが。』

うっぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!

うざい!うざいわ!クッソうぜぇ!


オレは比較的小柄な方だ。161センチあるオレだが、正直言って自分がデカいと感じた事は一度たりともない。

見た感じ、ソイツはオレより10センチ程背が高い。

オレより背が高いのをいいことに、ワザとらしくオレが気にしている身長について触れるコイツにイラッとくる。

「まだ伸びますぅ!お前なんか見おろせるくらいデカくなる予定だから!!そのうちデカくなるし!

てかなんで気にしてるコト知ってんだテメー!」

『アンタのコトなんてほぼ知ってますよ、近くにいるんですから。アンタの独り言は有名ですよ、きっと。』

(独り言!?)

中々衝撃的な事実を打ち明けられ、オレは絶句する。勿論、昔のあの一件を除いて、独り言なんて全く心当たりがない。

『自覚がないのは救いようがないですよ…。俺が覚えているだけでも、身長がミリ単位で伸びていたことを喜んだり、身長を伸ばす為に食べていたのが原因で太ってショックを受けていたり…。身体の痛みを“一人で”訴えていたり。中々滑稽ですよ。』

「お、お前ウゼーぞ!!喋るの初めての相手にその態度はねーぜ!?」

霊はとぼけているのか、それとも真面目な方向で理解していないのか謎だが、キョトンとオレを見つめる。理由が何にせよ、もしも自覚なしであんなコトをしているのなら性質タチが悪い。

それに!それに死んでいるからって、この世界に年数がオレより長いからって、コレはダメだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る