僕のナイチンゲール、伝えたい感謝と真実

櫻井幸二

第1話「君は」

「コウジ君こんにちは!」

 向日葵の様な笑顔、学校のマドンナ的存在の君との出会いは、たわいもないそんな挨拶からだった。

 何故、僕の名前を知っていたのか…

そんな事を考える時間もなかったが、

ここから幸せな日々、別れ、再会、葛藤、壮絶な人生の大恋愛の幕開けが始まるとは当時は予想もしなかった。

 

 17歳の僕が通う高校の普通科の学力は真ん中より下か、しかし高校では珍しく普通科だけでなく様々な専門的な知識、技術を習得出来る様々な科があるそんな学校だ。

 特にこの学校は、看護師になる為の准看護師の資格が高校過程で取得出来る看護科があり、入学倍率も高く県内至る所から入学志願者が集まる。

 そんな高校に通う2年生の僕はごく普通の生徒で同級生達が時代の最先端を進む中、流行りにも乗れず無頓着で、当時流行り始めた携帯電話ですら家庭の経済的な事情と部活をしていた為、バイトも出来なかった事もありクラスで唯一携帯電話を持っていないというそんな僕だったが、

自分自身ではイケてるかな〜?

位に思っていたそんな青年だった。

 同級生達が放課後にバイトや友人達と遊んだり、恋愛したりスクールライフを楽しむ中、せいぜい大会で2回戦止まりの弱小野球部に所属していた。

 2年生の春、厳しい冬のトレーニングを終え毎週末には練習試合が組まれる日々が始まる。

レギュラーだった僕は、ある日の練習試合のプレー中に右足を負傷してしまい、テーピングで足を保護しながら試合に出場していた。

 その日も試合前に右足にテーピングをしようと、部室棟の1番端にある野球部マネージャー室へ向かった。看護科に通うマネージャーのミチコにテーピングをしてもらう為だ。

ミチコは看護師のたまごだけあって、流石に頼りになる。

 扉をノックし、返事を待たずに扉を開け、

「ミチコ!テーピングお願い!」と

いつもの調子で部室に入った。

すると、そこにいたのはミチコではなく、以前から校内で見かけ気になっていた学校でマドンナ的存在の女子が驚きの表情で立っていた。

 彼女は笑顔の中にも少しだけ戸惑いの表情を浮かべながら冒頭の言葉を掛けられた。

僕もどうしていいか分からず、戸惑いオドオドしていると、

「ゴメン!ゴメン!」とミチコが帰ってきた。

戸惑いの表情を浮かべる僕と彼女を察したのか、

ミチコが間髪入れずに彼女を紹介した。

「私のクラスメイトで大の仲良しのヒロコ!」

「今日は対戦相手の高校に彼氏がいるから、試合を観に来たんだよねっ!」

そう紹介され、気になっていた彼女の名前が知れ

ミチコのクラスメイト、仲良しの友達だという事を知り、嬉しい反面、彼氏がいる事を知りなんとも複雑な気分になった。


 それが君との最初の出会いだった。

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