社畜ですが、種族進化して最強へと至ります
力水
序章 βテスト編
プロローグ
そこはブラウン色の絨毯が敷かれたオフィスビルの一室。規則正しく並ぶ本棚や牛革のソファーなど企業の重役の部屋などによくありそうな光景ではあるが、一つ変わっているものがあるとすれば、そのオフィスが、果てが見えないほど広大なことだろうか。
そんな異様な部屋の中心に置かれた黒塗りの木製のデスクで、丸渕眼鏡にスーツのいかにもサラリーマンといった風貌の男が、前屈みでノートパソコンのキーボードを操作していた。
そして、タイピングする手を止めると、男は大きく息を吐き出して、椅子から立ち上がり、
「全ての準備は整った! これは全てを得るか、失うかの究極の遊戯!」
両腕を大きく広げ、まるで舞台俳優のように芝居がかった口調で謳うように叫ぶ。
「心配はいらない。参加する権利は皆に等しく与えられる。ただし、あくまでそれは権利に過ぎぬ。もし、参加をためらっているなら、悪いことは言わない。その権利を大切に引き出しにしまって普段と同じ生活を送るがいい。ま、それでも運が悪ければ死ぬかもしれないが」
男は一度言葉を切るとその顔を狂喜に歪ませて、
「さあ、ゲームの開始だっ! 諸君らの健闘を祈る!」
右の人差し指でキーボードのエンターキーを押したのだった。
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