周囲14.ファミレスにて

「ねぇ、伊達山だてやま


「なんだい日紫喜ひしき


「なんでうちは今、おまさんと一緒にファミレスにおるんやろうか」


「そりゃ、一緒に飯食いに来たからな」


「なんでそうなったんやっけ?」


「おいおい、忘れたのか。俺が補習で学校に行ったらちょうど日紫喜がいて、帰りに一緒にデートしたじゃないか」


「これがデートなら、夏休み前に約束したデートは1日だけやきもう……」


「うん、デートじゃないな。これは友達同士で遊んで飯食いに来ただけだ」


「……掌返しが早い」


「でも楽しかったろ? 楽しんでくれただろ?」


「そりゃ……楽しかったけど」


「日紫喜が段々とデレてきてくれて俺は嬉しい」


「デレ……!! はぁ、なんでそがな前向きなが」


「好きな子と出掛けられたらそれだけでもう前向きになれるだろ」


「……ねぇ……なんでそがにうちの事好きなが? ロリやき?」


「いや、ぶっちゃけ見た目の好みは半分冗談なんだけど。むしろ好きになったきっかけは……」


「きっかけ?」


「あ、鳥谷部先輩だ」


「え? 嘘嘘?! どこ……って、花野木先輩と一緒やない」


「珍しいなぁ、ファミレスであの二人を見るって」


「あぁ……鳥谷部先輩……さり気なく花野木先輩をエスコートしてる姿も素敵……紳士……」


「うわ、ストーカーモード入っちゃったよ」


「ストーカーやないわ、純愛よ。……それに今日は偶然やし」


「どーする? 声かけて一緒に飯食うか? 鳥谷部先輩なら面識あるし……」


「一緒に?」


「あぁ、そろそろお前も鳥谷部先輩に認識してもらった方が……」


「……今日はええ」


「そうなのか? 良いチャンスだと思うけどなぁ」


「……鳥谷部先輩と話すなんて……緊張しちゃう……それに……」


「それに?」


「それに今日は……伊達山と遊んじゅーんやき……」


「……デレキタ?」


「デレてない!!」

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