会話5.夕食

「シチューってさ、一歩間違うとエロいよね」


「アスカ……お前から言うなよ……いや、俺からも言わねーよ」


「えー? オウカはエロいと思わないの?」


「食べ物で遊ぶんじゃありません。つーかお前が作ったシチューだろうが」


「自分で作ったから気兼ねなく言えるんじゃん。人が作ったものなら失礼になるから絶対言わない」


「俺も手伝ったんだよ……そのことを考えろ」


「オウカ、料理上手くなったよねぇ。ちゃんと人参を花の形に切れるようになってお姉ちゃん嬉しい」


「同い年だろ同級生」


「私の方が誕生日早いからちょっとだけお姉さんだよ」


「どうせなら妹が欲しかったなぁ俺は……」


「今日から私は可愛い妹だよ」


「どこ行ったお姉さん設定。キャラがブレすぎだろ」


「お兄ちゃん口うるさーい。そんなんだから微妙にモテるけど今一歩告白されにくいんだよー?」


「ちょっと待って、それ初耳なんだけど。俺モテるの? 詳しく」


「えー? そういうのはプライバシーがあるから言えないなぁ」


「えー……めっちゃ気になるんだけど。え、俺人生初のモテ期きてるの?」


「人生初なの?」


「初だね。初モテ期だね」


「ふ~ん……。嬉しいんだ……ふ~ん……」


「アスカさん、怒ってます?」


「べっつにー。怒ってないよ。ただ、私の冗談にデレデレと鼻の下伸ばしてるオウカがムカついただけ」


「怒ってんじゃん!! そして冗談だったのかよ!!」


「モテるオウカとモテないオウカが同時に存在する。シュレディンガーのオウカだよ」


「それ、猫に毒飲ますとか割と残酷な話じゃ無かったっけ……?」


「シチューに毒入れてるから」


「マジかよ、一緒に食ってるじゃねえかよ。心中かよ」


「私の愛と言う名の毒を……ね☆」


「……」


「なんか言えよ」


「いやー、アスカのシチューさいこー。うまいわー」


「ちゃんとツッコめよ!! 私が滑ったみたいになってるじゃん!!」

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