第45話 練習するなら私とでしょ
で…………出来なかった。
私はパンツを握りしめてベッドに突っ伏す。このパンツは何だって……?
ご想像にお任せします。
私はしばらく吾妻君の去って行ったドアを見つめ、吾妻君の言った一言が頭の中でグルグル回っていた。
【練習してくる! 】
練習って何?! アレって練習してからするもの? というか、するなら私で練習しようよ。誰と練習するつもり?!
私の脳裏にプールで会った舞先輩とやらのダイナマイトボディーがちらつく。あのプルンプルンの巨乳で練習……、それって本番で私の微乳を前にしたら萎えませんか? 練習でも他の女子と(たとえお金を払うタイプのだとしても)、私以外で今みたいな行為を最後までしたら(最後どころか最初も嫌だけど)……。そう思うと、裂けるくらい何で我慢できなかったのか、吾妻君が他にいかないのなら、救急車案件くらい受け入れなきゃならなかったのに。
吾妻君のアヅマクンは、私の想像を遥かに突き抜けるくらい極悪で狂暴な物体だった。大きな身体の吾妻君に小さな身体の私。普通に考えても凸凹が合う訳がない。確実に流血………しかも救急車レベルの大惨事になること間違いなく、号泣してしまった私に、吾妻君はさっきの台詞を残して飛び出して行ってしまったんだ。
もちろん未遂。かなり際どいレベルだと思うけれど未遂だった。
あんなの……入るんだろうか?
女性のアソコは赤ちゃんがでてくるくらいだから、無理難題という訳じゃないのはわかっている。でもさ、赤ちゃん産む時は激痛だって聞くよ。アソコが裂けて、縫うこともあるって聞いた。
多分……私のアソコも、吾妻君との事後は出産後みたいなそういうことになるんじゃないだろうか?
ゾッとする思いと同時に、どうせいつかはすることならば、最初は絶対に吾妻君がいい。吾妻君じゃないと無理だとも思った。
★★★
「マジで?! そこまでして、修斗ったら逃げ出したの? 」
私はシーッと佳苗ちゃんの口を塞ぐ。
今日はサークルの合宿前に、佳苗ちゃんと買い物にきており、その帰りにお茶をしていた。
あの未遂事件から一週間、すでに吾妻君は研究室の方の合宿に行っており、一度も会えていない。
吾妻君とのことを佳苗ちゃんに報告し、できれば助言が欲しいところだ。遥君っていう彼氏がいる佳苗ちゃんなら、なるべく最小限の被害ですむやり方とか知っているかなと思ったから。
「私が号泣しちゃったから……。だって、あんなの絶対に入らないって思ったし」
「入らないこともないだろうけど……。修斗はちゃんと解してくれた? 」
私は顔を真っ赤にして、佳苗ちゃんに顔を寄せる。大声で話す内容じゃないし、誰かに聞かれたら恥ずかし過ぎる。
「指でしてくれたよ。でも、二本目が無理で……」
「それじゃ無理よ。入る訳ないじゃん」
「そう……だよね」
思わず吾妻君のアヅマクンを思い出してしまい、私はブンブン首を振る。そんな私の様子をニヤニヤして見ていた佳苗ちゃんは、グラスに残っていた最後のアイスミルクティーをズズズッと吸い込むと、店員さんに手を上げておかわりを注文した。
「せめて三本入るようにしないと」
「三本?! 」
私のすっとんきょうな声が店内に響き渡り、一瞬静寂に包まれる。
「バカ」
小声で佳苗ちゃんに頭をコツンとやられ、私がまた小声に戻ると店内もまたザワめきが戻った。
「こればっかりは修斗が頑張らないとだよね。うちらが頑張るのはもう少し慣れてからだしね。やっぱり童貞と処女は難しいか」
「吾妻君……本当にそうなんだよね? 」
キスも上手いし、その……挿入は無理だったけどそれまでは気持ち良かったし、それなりに経験があるんじゃないかな……なんて初心者の私にはよきわからないんだけどさ。
「そうに決まってるじゃん。あいつ、好きな子以外に手出せる奴じゃないし、今まで好きな子がいるってことすら聞いたことないからね」
「でもさ、吾妻君カッコいいし、モテたよね。ほら、プールで会った先輩みたいな女の子とか、回りにいっぱいいたんじゃないかなって」
佳苗ちゃんは、残ったグラスの氷をバリバリ食べながら、呆れたように鼻をひくつかせた。
「論外でしょ。確かに、修斗のネームバリュー目当てのビッチは群がってたみたいだけど、あんなのに手だしたら性病うつされるの目に見えてるからね」
「性病……」
それはかなり嫌だ。
思いっきり顔をしかめてしまった私に、佳苗ちゃんはカラカラ笑いながら私の肩を叩いた。
「だから、あいつは大丈夫だって。なんせ童貞だから、童貞」
でも、佳苗ちゃんの知らない付き合いがあるかもしれないし……と、内緒話をするように言うと、ナイナイと佳苗ちゃんは手を振って否定する。
「まぁ、修斗のフォローは遥がするだろうし。最初はうまくいかないって」
「佳苗ちゃんもそうだった? 」
佳苗は「どうだったかなぁ」と視線をさ迷わせる。その様子を見る限り、佳苗ちゃんの初めてはスムーズにいったようだ。
「ともかく、何回かチャレンジして二人で創意工夫するんだね。そうだ、修斗が暴走しないように、目隠しとかさせたら? 」
「変な性癖の扉開いちゃったらどうするのよ」
「確かに! 逆に興奮したりしてね。キャハハハ」
「笑い事じゃないよォ。何回か頑張れば出来るようになるかな? 何回かにわけて、少しずつ入れて貰えばいいのかな?」
「アハハハ、修斗地獄だね」
「そうなの? 」
「そりゃそうでしょ。いっきに突っ込んで腰振りたいだろうに」
佳苗ちゃんは真面目な見た目のわりに、色事には明け透けに物を言う。でも、佳苗ちゃんの言うことが正しいんだと思う。
「そうだ、ちょっともう一ヶ所買い物に付き合ってよ」
「いいけど、買い忘れ? 」
佳苗ちゃんは、おかわりのアイスミルクティーをいっきに飲み干すと、荷物を片手にまとめて持って立ち上がった。私も荷物を持って佳苗ちゃんの後に続く。
店を出て、しばらく住宅街方面へ歩いた。
こんな場所で買い物?
角を曲がると、普通の住宅の中にお洒落な外観の洋館があり、佳苗ちゃんはその門を開けて私を手招きした。
家? お店?
看板はないけれど、隠れ家的なお店かもしれない。入り口はファンシーな感じで、女の子が好みそうな外観をしていた。
カランカランとドアベルが鳴り、私達の来店を知らせる。
???
棚が並び、商品らしきものが飾ってあるから、確かにお店みたいだけれど、何が飾ってあるのか、何の用途に使う物なのかわからない。とりあえず並んでいる物は、その色使いはカラフルで可愛いとは思うけれど、はて……何だろう?
「これこれこれ。何味がいい? 」
味?
アクセサリーにしてはちょっと置いてある物は大きめだし、お洒落な健康器具用品? とも思ったが、食料品屋さんだったの?
佳苗ちゃんは可愛いボトルを両手に持ち、ウンウン悩んでいる。
「修斗ならサッパリ系かな。甘いのはけっこう甘ったるいからな。ストロベリー味はおすすめだけど、バナナ味も良かったよ。ココナッツ味はいまいち。チョコ味もまぁまぁだけど、何気にレモン味はサッパリかも。で、どれがいい? 」
吾妻君なら……ということは、二人で食べてねということだろうか? ならば、佳苗ちゃんが言っていたサッパリ系だろう。
「レモン味? かな? 」
「うん、それが無難かも! やっぱ最初はほとんど修斗が味わうだろうしね」
はいと渡され、私はボトルの但し書きを読む。
ラブコスメ?
コスメってことは化粧品かな? でも吾妻君が味わうって?
さらに読むと、食べれるローション、媚薬効果……??? セックスの時の潤いに?!
これってアレじゃん!!
私がローションを持ってアワアワしていると、佳苗ちゃんが私はこれにしようって……何それ?!
違う棚から丸いわっかに何かついたようなグッズを手にしてカゴに入れていた。
「何それ? 」
「男の子に使うグッズ。ついでに私も楽しめるやつ」
「? 」
「ね、それで良ければ一緒にお会計するよ。莉奈は恥ずかしいだろうし」
「お……お願いします」
佳苗ちゃんがお会計をしてくれて、一緒に店を出た。
「あそこはね、店員さんも女性だし、女の子が入りやすいをコンセプトにしたラブグッズ屋さんなの。DVDとかも女の子が見やすいのが揃えてあったりするんだよ。というわけで、これ」
佳苗ちゃんが私に可愛い包装の紙袋を手渡した。
「あ、お会計」
「これは、ガンバレ! という気持ちをこめてプレゼント。そんなに高くないしね。中にDVDも入ってるから、使い方練習してね」
DVD?
私達は駅まで戻り、二日後の合宿でねと駅でバイバイした。
家に帰った私は、自分の部屋でDVDを見て……。
佳苗ちゃん! アダルトDVDじゃないですか?!
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