日々
雨宮吾子
日々
鐘の音が里山に行き渡ると、男たちは揃って働く手を止めた。老いて骨張った手があれば、契りを交わしたばかりの少しぶよぶととした手もあり、また白光するような瑞々しい手もある。老いた手であろうと若き手であろうと、それ自体に意味はない。より働き、より多くの糧を生み出せる手こそが尊ばれる。それらの働き手は一所に集まって、日の昇りきらぬうちに女たちが握った飯を口にする。上手いも不味いもない、手は黙々と握り飯を口へと運んでいく。その米粒の柔らかさは、働き終えた先に家で待つ女たちを思い起こさせる。男たちはやはり黙って、握り飯を貪っていく。
ところで里山の小高いところにある寺は、老尼が取り仕切っているそうである。
日々 雨宮吾子 @Ako-Amamiya
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