僕の不遇スキルが魔王に気に入られたようです
灰色の姫
プロローグ
この世界の人々は全員が十五歳になると神から皆公平に、平等にスキルが与えられる。しかしそのスキルにはレア度があり、それは人々を不公平で不平等なものへとする神の奇跡である。
「隊長!!報告します!!」
「どうした?!」
「隊の後方から魔国軍の幹部とみられる男が一人で我が隊に突っ込んできていて、次々と隊員が戦闘不能にされています!!」
「なんだと!一人だと?!そんな馬鹿な!」
「本当です!信じられないような光景でしたが、至急隊長に報告せねばと駆けてきた次第です!!」
隊長はそんなことがあるのかと顔に絶望を浮かべる。
「隊の最前列と最後列には☆5スキルの聖璧持ちの隊員を五人ずつ配置しているはずだろ!!そいつらはどうなった!!」
「は!聖璧持ちの隊員もまた為す術もなく戦闘不能にされています!!」
「そんなことがあるはずないだろ!ん?待てよ。お前さっきから戦闘不能と言ってるが、それは殺されてるのか?」
「いいえ!我が隊員は一人たりとも殺されていません!その全員がなんらかの状態異常を受け動けなくなっています!!」
「状態異常......だと?」
冷や汗が顔に滲む。以前酒場で聞いたことのある噂を思い出した。でもあれは噂じゃなかったのか?でももうこれはそうとしか思えない。
「た、隊長どうしたんですか?そんな急に青ざめた顔で震えだして」
「お前は知らないのか......?人間ながら魔国軍の幹部になった男を」
「え、魔国軍の悪魔って一時期流行った噂ですよね?なんでも☆0のスキルを神様に与えられた子どもが魔国に行って幹部まで成り上がったって言う。まさかそんな噂信じてるんですか?隊長もご存知の通り、人間が神様に与えられるスキルに☆0なんて滅多にありませんし、あたえられたところで☆0なんてなんの役にも」
「でもそれ以外考えられないだろ......。だってそいつのスキルは対象を状態異常にするスキルだぞ......」
「え......。で、でもそんなことあるわけな、ガッ」
目の前で今この瞬間に話していた部下が白目を剥いて倒れ込む。
「おい急にどうしたんだ!!敵襲!敵襲!!」
「もうお前しかいないんだよ」
「えっ......」
「これ以上僕たちの国に手出しするなら......殺すよ?」
「お、お前は......魔国軍の悪魔......ロイド・ス」
「その名前はもうとっくの昔に捨てたんだ、おやすみ」
これはそんな神の与えるスキルのせいで人生を大きくねじ曲げられた少年、ロイド・ステンノが魔王に気に入られ成長していき、ゆくゆくは魔王の側近として魔国軍の幹部へと成り上がっていく物語である。
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