07.長編小説における一人称視点

【三人称視点】

 個人的には、前作『深海シティ4cb8e7』を三人称で書いてみた結果、一人称視点より、三人称視点のほうが圧倒的に難しかった印象です。

 視点、めっちゃブレる。私の場合は常に主人公にフォーカスをあてており、広義の意味では視点はブレていませんが、地の文がものすごくブレる。

 主人公の感情と字の文がごっちゃになります。

 主人公は美味しそうな匂いに頬を緩ませた。みたいな文があったとして(そしてよくこんな感じの文を書いていました;)――これ、おかしくないですか?

 美味しそうって、なんで分かってるの? 主人公は「鼻を大きく広げ、頬を緩ませた」になるべきではないですかね。真の三人称視点なら。……みたいな。そしてこの表現マジでセンスない……(悲)

 三人称視点は奥が深すぎる……。三人称視点でも更に分類されてますからね、本当に難しい。その分、表現の幅が広いというメリットはありますが、まだまだ修行が足りませんでした。

 三人称視点については私自身まだまだ勉強中ですので、是非他の有益なエッセイを読んでください。


【一人称視点】

 さて、話の本題、一人称視点について。

 一人称視点の場合、視点が変わることがあると思います。

 そういった小説で気をつけてほしいこと。


 ・誰視点なのか明確にする


 本当に、これがマスト。

 これだけでこの話はおわりにしてもいいくらいマスト。


 主人公とヒロイン、みたいに視点が「男」「女」のみの場合ならまだ分かるのですが、一人称が「私」や「俺」が複数人いると誰視点の話なのかわからず、途中で「ああ、〇〇の視点かコレ!」みたいになることがたまーにあります。

 ミステリーならまだしも、誰視点の話なのか予測するのは読んでいてストレスです。

 サイド・〇〇 でも良いので、あるとわかりやすいですね。

 ただ、本文に「サイド・〇〇」はちょっとスマートではないので、タイトルや章立てで明記がわかりやすいでしょうか。

 好みの問題ですね! わかりやすいのが一番です。


 セリフで誰がどのセリフなのかわからない場合は、まあわからないなーと思いながらスルーするのですが(大体大した問題ではないので)、地の文で誰かわからないのはしんどい……。


 ちなみにですが、セリフの書き分けがあまり得意でない方は、一場面に出す人数は3人くらいまでにしておくのがベターかと思われます。

 私も苦手なので基本は二人、多くて三人+脇役にしています。

 特殊な喋り方の人ばかりでしたら平気ですが、それもそれでなんだかお腹いっぱいになってしまいますしね。


【"自分"の呼び方】

 なお、私の場合は一人称を人によって変えています。複数人同時に出ても、一人称が違うだけで大分書き分けしやすい……気がします。登場人物が少ないからこそできる技かもしれませんが……

 せっかく文字で表す小説なのですから、同じ一人称でも「私」「わたし」「アタシ」「あたし」など、それだけでも受ける印象が違うと思います。

 呼ばれ方も大切ですが、一人称視点における自分の呼び方はめちゃくちゃ大切です。それだけで、物語の雰囲気が伝わってきます。

 一人称視点で「ボク」だとイメージが付きやすいでしょうか。私の場合はゴスロリちっくなちょっと変わった女の子を想像してしまいますね。


【"他人"の呼び方】

 これ! 一人称視点の鬼門!!


 ・他人の呼び方が話数でブレている

 →これ、読んでいて本当に気になる。名前で呼んだり名字で呼んだり。

 え、これ誰視点? 変わった ?変わってない? と混乱します。

 ・視点がいきなり三人称視点になる

 →いきなり三人称視点になって俯瞰的な説明になっている。

 比較的よく散見されますね。

 そもそも視点がいきなり変わることがよろしくないのですが、そして私もよくやってしまうので人のことは言えませんが、この視点のブレ、読んでいると想像以上に気になる。

 画面がいきなりフッと主人公目線から神の目線になってしまうんですよね……。



 話が逸れましたが、長編小説の場合、人称の「一貫性」は是非意識して執筆をお願いしたいです。

 誤記でもないのでわざわざアドバイスしてくれる方は本当に少ないです。自分で気づくしかありません。そして自分の誤りはなかなか気づけないものです(何度読み返してもなくならない誤記)、習慣付け、常に意識しながら執筆するのがベターかと思われます。


 →

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る