愛の証明

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最近妻を抱いていている自分に他人を感じるときがある。知り合って何年目か、僕は彼女に惚れ抜いていたから大切にし、彼女もそうされるのを悦び僕にも優しく触れてくれたので、年数を経ていくうち、情交の雛形が出来ていたように思う。順風満帆の影で、僕は別人格を作り上げていたのではないだろうか。妻はどうだか知らない。脳下垂体の底に今まで黙殺してきた、女を壊したいという衝動の滲出を唐突に回顧した。妻と知り合う前の僕は決して品行方正ではなく、恋人の同意を無視して身勝手な行為に及んだこともあった。自分の欲望のもとに、女を支配して征服したいという青黒い欲求。口で抗いながら終いには屈服していく女との、力の均衡の偏り。絶対的な何かであることを性によって証明しようとする、爆発的で我儘な発想が昏く心を占めていく。

しかしこの疑懼の念は刹那的なものだ。僕は妻との性生活に満足している。彼女の中に放出してきた幾多の精液のうちの数個を結実させたのだし。惑う必要などない。この突かれ慣れた潤穴に目掛け一心不乱になれればいいのだから。