第25話 第二世代の二人
―――兄様が見てる以上無様は晒せない
最強の兄の妹として負けるわけにはいかなかった
ただ―――負けるとも思えなかった、キーラはいまだにレベル1だ、普通に考えたらレベル1が勇者に勝てる訳がないだろう
だが兄様のあの自信からきっと私じゃあこの人に負ける要素は無いと教えてくれている気がする
キーラはいまだに魔法を1つも覚えていなかった、だから戦闘自体は近接戦に持ち込むしかない
こっちから仕掛けてもいいのだろうか、いつも兄様から仕掛けている様子はなかった
強者として自分から仕掛けるのはまずいのだろうか、強者としてどう立ち回るのが最適か思考を巡らせる
―――相手が仕掛けてきた
短剣程度の大きさしか持っていなかった筈がその手には身の丈もあるような大剣が握られていた
特大の剣が振り下ろされ視界が急に暗くなる
さらりと体を逸らし攻撃を回避する
なるべく手加減をしながら相手の剣を殴りつける
ドゴォォォォォン!!
けたたましい音が聞こえる
相手はうまく防げたようで地面に二つの線を残し後退している
相手の表情はかなり辛そうだった、防御してもかなりのダメージを負ったらしい
―――さらに相手が仕掛けてくる
自分との距離を瞬時に詰められる、再び目の前が暗くなる、これをわかっていたかのように指で剣を掴む
―――掴めたと思っていた。
いつの間にか剣のサイズが変わっており今は短剣程の長さしかない
あまりの恥ずかしさ―――動揺にガードが間に合わず
剣先が眼前に広がり思わず目を閉じてしまう
ガキン!!
金属のような音がなり響く
恐る恐る目を開くと剣は額に刺さっているかの様に見えた―――刺さってはいなかった当たってはいるものの傷は何一つついていなかった
ここはあえて煽るように余裕を見せる
「ごめんね、私には通用しなかったみたいだね」
なるべくかわいく見えるように微笑み、拳を握り締める
相手は短剣のサイズを変え特大剣で防ぐために剣を地面に突き刺しそこに隠れる
だからこそ、ちょっと強めに剣を殴る
―――先程とは比較にならないほどの轟音が鳴り響き砂煙が上がる
砂煙が消えた場所には対戦相手の少女が倒れていた
起き上がってこないことを確認してから振り返り笑顔でピースサインをした
―――笑顔がかわいい
勝負はキーラの圧勝だった。
一瞬ヒヤッとしたが、さすがの防御力だ、キーラのステータスを今度見せてもらおう
ふむ、と少し考え込む、あれくらいの強さがあればもしかしたら学院でキーラの友達になれるかもしれない
「勇者よ、お前の力を戻してやる、その代わり、娘は頂いていく、返してほしかったら俺の城まで来るといい」
勇者の体の時間を過去に戻す、具体的には子供を作る前、つまり―――お前は再び童貞だ!!ガハハ!!
倒れた少女をマキが抱え少女はなされるがままに力なくぶら下がる
「それは、ゼルに預けておけ、とりあえず傷を癒して布団にでも寝かせてやれ―――行くぞ」
勇者達を閉じ込めていた箱を解除してから【
【
孤児院の上空に
そっと地上に降下し声をかける
「グレース様...私...怒られちゃいました...」
なんて声を掛ければいいのだろうか、きっと俺が渡した金のことで怒られたんだろう
まぁひとまず連れて行こう、多少強引にでも
「さぁ、行くぞ」
少し強引に覇王城に【
覇王城の一室、俗にゆう修行部屋だ
この修行部屋は時間の流れを加速させていてこちらの世界での1時間が1万年ほどになっている
だからこそこの中に入って少ししたら体の進みを止めなければならない、それにこの部屋は魔力が大量に満ちていて、農作物なども育てることができる
作物自体も特殊に作られており、食べれば食べるほどステータスが上昇する―――レベルの上限を一切無視して上昇し続ける
つまり、ステータスのカンストを簡単に行える。
「この部屋は...なんですか?」
「この部屋は【時空の狭間】といってこの部屋の中は時間が加速している」
「ここで修業をするんですか?」
ミシャの危険を肯定してから【念話】を使用して龍王のシザースを呼びつけた
するとすぐさま【
「お呼びでしょうか、覇王様」
「あぁ、数日前に生まれたという子竜と共にこの子も修業させてやってくれ」
シザースは擬人化しており、立派な紳士老人のような見た目をしていた
シザースはミシャを下から舐めまわすように見る、そこであることに気が付く
「覇王様、この子の魂は...」
「頼めるか?」シザースの言葉を遮る
「はい、お任せください、お時間はどれほどにしますか?」
「三時間くらいで15歳くらいで体の年齢を止めてくれ」
強く肯定し深く頭を下げミシャを連れ部屋に入って行った
「兄様、ミシャの事何か知ってたの?」キーラが不思議そうに訪ねてくる
「まぁな、―――最近、新しく竜が生まれたらしくな、その竜とたまたま魔力の色が同じだっただけだ、もしかしたら、ミシャの妹かもしれないな」
はぐらかすように肩を竦める
勇者が来るまでのいい時間つぶしになるだろう
さらに【
そこで少女は眠りについていた
ただこれから行うゲームには一人足りない、俺、キーラ、娘、シーラ...あと一人は欲しいな...
思いついたかのように手を叩き【
すると開いた穴から大量の水―――いやお湯が流れ出してくる、少しすると何か物体のようなものが落ちてくる
―――落ちてきたのは生まれたままの姿をしたエミールだった、玉座の前で、それも全裸で布を頭に乗っけてるのは少々滑稽でもある
長く感じるような短い時間エミールと目が合ってしまう、―――状況を理解してきたのか段々と顔が赤くなっていく
叫ばれて平手打ちされる前に創造の魔法を使い服を生み出し着せる―――もちろん同時に指を鳴らす、正直指を鳴らす必要はない
反論する暇を与えずに勇者の娘を起こす、エミールは悔しそうにしていた、正直ごめん
寝ている勇者の娘の目が覚めたので歩いて近寄る、
―――明確な敵意を向けられた、そんなにかわいい顔で睨むなよ...―――ある意味興奮する
おっとここであほみたいな顔をしてる場合ではない、ここは凛々しくそしてかっこよくさらに怪しく告げねば
「さぁ、ゲームを始めよう、―――お前が俺に勝てたら願いをなんでも叶えてやる」
「どんな...願いも叶えてくれるんですね....わかりました」仕方ないという表情をしている
勝てると思ってるのか?まぁ今回するゲームはどちらかと言えば頭脳系のゲームなので、一種のハンデともいえるだろう
指を鳴らし机と椅子を錬成する、机は天板のの部分が青色のよくあるカジノなんかに置かれているようなもの
勇者の娘の顔は驚きを顕わにしている
「私と戦うんじゃないんですか?!」
「もし仮に戦ったとすればお前の勝率は限りなく0に近い0だ」凛々しく伝える、正直、自分でも何を言ってるか理解できない
「成る程、手加減をしてくれている、と言う訳ですか」
「まぁ、そうゆう訳だ、始めようルールは簡単だ、」
それから、【大富豪】の説明をした、どうやら勇者の娘は何度かやったことがあるらしい、一番困ったことはエミールの覚えが悪い、ゼルセラを代わりに入れた方がよかったと思わせる程に
「さぁ始めよう、未来を賭けた【
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます