第20話 守護天使ジルニル
体を拭きいつもの服に着替える、部屋の外で待機しているだろうジルニルの為にも気持ち程度急いで身支度をした
扉を開くとジルニルは満面の笑みで出迎えてくれた
「待たせてすまないな」
「いえ、構いません」
「さて、部屋に戻るか」
返事を聞きジルが近づいたのを確認した後転移で移動した
一日が終わった事を自覚し体を伸ばす、最近は毎日が楽しい、会社員時代じゃ考えられないくらいの幸福感で一日を終え新たな一日を迎えることができる
それもすべて回りに仲間がいてくれる、それがわからないほど俺は馬鹿じゃない。ありがとう
「もうお休みになられますか?」
「ん?あぁもう寝るとするよ明日もやることはあるしな」
「警備はお任せください!ご主人さまの眠りは誰にも邪魔させませんこの命に代えてもお守り致します」
「たまには一緒に寝るか?」
なるべく自然に伝えれた気がする、顔が引き攣ってないか心配になるが今は自分を信じるしかない
ベッドに横になるとジルニルが布団を掛けてくれた
「いけませんよご主人様私には警備という大切なお仕事があるので、また今度ご一緒させてください」
あれ?雰囲気が妙に違う?ジルも眠いのか?なんだろうこのジルにときめくこの思いは....バブみなのか?
目を閉じるとジルが右手を優しく握ってくれた。ついママと口にしてしまった気もするがきっと気のせいだろう
そしてグレースの長い一日はようやく終わりを迎えた、しかしジルニルの夜はまだ続くのであった
夜が明け太陽が昇る、グレースが目覚めると妙な違和感を覚えた。横で眠っているジルニルはまだわかるのだが....なぜかベットの横の通路にゼルセラが寝ていた
そしてもうひとつ正面にハイライトの消えたシーラが立っていた
キーラは羨ましそうにシーラの後ろから眺めているだけだった
「おはようございますお兄様、それで、なにか、
知りもしないことだが起きてしまっている現状になぜか冷や汗が噴出してくる、そもそも記憶にないのが一番怖い、俺何かやっちゃいました?
「知らない、本当だ、記憶を覗いてくれても構わない、本当だ!」
「そうですね、なら記憶を覗かせてもらいます」
堪忍して待ったが、シーラはゼルセラの記憶を覗いた
「成る程....非常に興味深い内容ですが....とりあえずの原因はゼルセラみたいですね」
「興味深い内容?」
「ファーストキスと貞操はジルに守られたみたいです、今映し出しますね」
空中にまるでテレビに移るかのように昨日のゼルセラの記憶が映し出された
映像はグレースの部屋の前から始まり忍び足で部屋に侵入していった、ベットの横の椅子でジルニルは寝てしまっていた
ジルニルに気づかれないように俺に近づいてくる、寝ている自分を見るのは不思議な気分だがこれから起こりそうな事象に恐怖を覚えた
止める者もいなく徐々に近づいていく、ベッドに足を掛け顔に手を伸ばす、そしてじわりじわりと顔が近づいていく
そのとき妙な気配を感じたのか、視点が急に移動した、その時既にジルニルは立ち上がっていた
「ご主人様の眠りは私が守ります....」
その時ジルニルは妙なオーラを放っており瞳は赤い色を発していた、本来の黒色の瞳から赤に変わっていた
瞳の色は階級で決まっており赤だけはフリューゲルの中で一番強いという証でありつまりこの一瞬だけはフリューゲルのなかで一番強かったという事を物語っている
ゼルセラは驚き鏡を探す、鏡の中の自分の瞳は水色になっていた、だが鏡を見ていると自分の瞳が赤色に戻った
不思議に思いジルニルの方を向くとジルニルは床に倒れていた、その姿にゼルセラは力無く微笑む
「一体なんだって言うの、スキルを持たないはずのジルがこの私を上回るなんて」
そっとジルニルを抱きかかえベッドにおろす、ゼルセラは椅子に座り眠りについた
「ジルが赤い瞳か...確かに興味深いな」
「先程、ジルの所持スキルを確認したところ一つスキルを覚えていました」
「なに?いつの間に、どんなスキルなんだ?」
「スキルの能力はわかりませんが、スキル名は『子を守る母の矜持』お兄様のことを子供と思ったことによるスキルの発現でしょうか」
「子、つまりは俺の力の一部を借りれるとかそんな感じか?」
「だとしたらかなり強い能力なのかも知れませんね」
「ひとまずは、起こしてやるか?ジルはMP切れか...ゼルは....寝てるだけか...」
ゼルセラを起こす、声をかけるとか、揺さぶるとかではなくスキル【
「お、おはようございます!」
もちろん、叩き起こしたのはゼルセラだけである、ジルはMPだけ回復させ寝かせてある
「まぁ話したい事が山々だが、まずは俺が居なかった間俺の当番だった子達を食堂に呼んでくれ」
「畏まりました」
すぐに連絡を取るゼルセラに構うことなく食堂に向かう、この時、なるべく起こさないようにジルニルの事をおんぶしてあげた
食堂に着くと既に4人のフリューゲルが集まっていた、着いて早々皆からの朝の挨拶を受け取る
そこでやっと、ジルニルが目を覚ます、覚まして早々慌てて背中から降りる
「申し訳ありませんご主人様」
「構わないさ、それに今回俺は救われた側だからな」
申し訳なさそうに下を向いてしまった
そして呼び出されてきたフリューゲルの一人ギリケイリスが一番最初に口を開いた
「ご主人様、今回私達はどのような事で呼び出されたのでしょうか、もしかして私達は何かミスをしてしまったのでしょうか」
「いや違う、これは俺からのせめてもの気持ちだ、俺がいない間当番として部屋の前で1日中待っていたと聞いたからな...済まないことをしたな」
「謝罪なんて必要ないです!そのお心使いだけで私達は幸せ者であります」
「そうは言ってもな...とりあえず、俺がもし城に丸1日いない時は当番なしでやってくれもちろんその日の当番が次の日に改めて当番として動いてもらう」
「畏まりました」
「ゼルもそれでいいな、それと皆にも伝えといてくれ」
伝えるとゼルはすぐに行動に移りこの場に居ないフリューゲル達に連絡を取った
覇王城では朝食だけは自分で用意するようになっている、これは自分が朝起きれない時があるというのと、正直朝だけは食べたいものが気分で決まる、軽く食べたいときもあればがっつり食べたい時がある、空腹感が無いので食べたいという欲求がほぼ無いに等しい
流石に、朝からそんなわがままを言うつもりはない、それは覇王になった今でも昔と変わりはない、食事に関しては好きな時に好きな物を食べればいいと思う
だから、朝だけは厨房に誰も居ない、なので今日集めたフリューゲル達の分の朝食をグレース自身が用意する、用意するといても錬金術で生み出しただけだが、おいしいかおいしくないかで言えばおいしい、生み出そうと思えば一流のシェフが作ったものからほぼ毒物のようなものまでなんでも作れる
みんなから食べたいものを聞きそれを順番に生み出していった。みんなの朝食を出し終えたのを確認した後挨拶をした、この時も自分が挨拶をした後にみんなが揃って挨拶を行う
「いただきます」
「「「頂きます」」」
笑顔でみんな食べ進めてくれる、自分で作ったわけではないがやはり笑顔で食べてもらえると嬉しい
「さてと、今日の転移のことで皆から意見を聞こうと思っている」
「転移と言いますと
「あぁその時できるだけかっこよく登場させたくてな」
「
登場演出とは大切なことだ、霧を出すとか雷を降らせるとか火山を噴火させるとか、死の勝利をもたらすフリューゲルともなればそれなりにかっこよくないといけない気がしている、魔王だって演出にはこだわっているはずだ
「私達翼生えているのでやはり空中から舞い降りる感じでしょうか」
「それだと、リエルとジルが落ちることになるが...」
リーエルとジルニルは飛翔のスキルを所持していない、翼は生えてるが飛ぶことはできない中級程度のスキルだがあるのとないのでは戦闘に関しても大きく差がでる
「なら二人には別の役目を与えてはどうでしょう」
「ならリエルにはパイプオルガンを任せてみてはいかがでしょう」
パイプオルガン、パイプに風を通して音を出す楽器だ、確かに神々しい雰囲気に合うはずだ
「なるほど、いい考えだ、リエルはパイプオルガン弾けるのか」
「はい時々覇王城に流れている音色はリエルが弾いたものです」
確かに、覇王城にいる時、重々しい演奏が聞こえてきたことがあった正直聞き惚れていたくらいだ、あれを演奏していたのはリエルだったのか、なら任せても大丈夫だろう
「なら、それはリエルに任せよう、ジルはそれを手伝ってやれ、不可視化の魔法を後で掛けておくから俺についてくるんだ」
とりあえず二人は透明化させて連れて行く、あとで透明なパイプオルガンも生み出さないとなぁ、よしスキルを持ってない二人の事はこれで片付いたな
続いて演出の事を考得ているとシーラが意見を出してくれた
「ゼルの能力で夜に変え月を赤くし雷鳴と共に空中に出現し落雷と共に地上に降りたつのはどうでしょう」
かっこよ、次からの登場で自分も使おう
「フレイヤ、ロキ、アポロン、この3人にはプレッシャーをかけてやれ、」
「かいこまりました」
朝食を食べ終え身支度が出来たら出発だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます