第18話 王女の苦悩

 時は少し戻りグレースが修羅の世界に行ってシーラが現世で留守番してた時まで遡る


簡単に説明すると王女がグレースに領土を与えるという話である、シーラは領土として西側にある森林地帯を示した

その森は国の整備が行き届いておらず度々魔獣が出現していて周りの地域の住民に被害が出ていると噂の場所だ。

整備が行き届いていない為領土がかなり広く森には魔界の瘴気にやられた魔獣がおり森に住んでいた知的生命体は既に別の場所に逃げてしまっていた。

森を開拓しても周りに被害がないうえに近隣住民の被害が減るそして、領土の住民が増えれば王国に正攻法で圧力をかけることができる。

そもそも修羅の世界の住民をある程度住まわせる予定なので治安もいい...はず、


この時、王国に圧力をかけることそれと修羅の世界の住民を住まわせることそれ以外の利点をシーラは王女に説明した


「確かにいいわね、あそこの森は魔獣がでるから周りの住民からの討伐依頼が多かったのよ、しかもそこの魔獣は瘴気を大量に吸い込んでるせいで高位の冒険者しか相手が出来なくて困っていたのよ」


「ですがこれだと、冒険者達の収入が減ってしまいますね、盲点でした」



冒険者の狩場がなくなった場合冒険者の収入が減ってしまう、冒険者はいうなれば何でも屋、町の掃除や商人の護衛、それから出現した魔獣の討伐

それこそ魔獣の出現ポイントである森は言うなれば冒険者にとっては最高の狩場というわけだ


「それも、問題ないわ、そもそもあそこの魔獣は高ランクの冒険者しか受けられないから被害は少ないわ、そして高ランクなら別のとこからの依頼もたくさんあるし」


「そうですか、ならダンジョンとか作ってみましょうか?」


「ダンジョン?あれってそもそも作れるの?」



この世界にとってダンジョンとは階層になっており下に行けば行くほど敵も強くなリ出現するアイテムもレアなものになる、魔獣の出現原因もすでに解明されており

ダンジョンの最下層に強大な力を持つ魔獣がおりそこからあふれ出す瘴気が原因で魔獣、つまりはモンスターが生まれる

瘴気の発生源から近い程瘴気を多く吸っているため下層のモンスターの方が強くなる一説では魔王が居るとされているがそれはただの噂でしかない



「簡単に作れますよダンジョン」


「確かにダンジョンがあれば冒険者たちの収入源になるわね、それにそこででたモンスターの素材をギルドで買い取り同盟国に売れば国の懐も潤うわ」


「まぁダンジョンの最下層に必要な人がまだ見つけられてないからしばらくは無理ですが」


「それってもしかして...魔王?」


「知っていたのですね」


「うそ...あの噂は本当だったの!?」


「えぇまぁただの魔王ではつまらないのでもっと格上を用意したいところですが」


「ちょっと待ってよ魔王とか言う只でさえ私たちにとって厄災級なのよ?!それ以上にやばいのを町の中心に住まわせるって言うの?!」


「私がモンスターを生み出してもいいんですがせっかくなら天然物でと思いまして」


「モンスター生み出せるの?」


「えぇ魔王なんかより強いのなんて簡単に作りだせますよ」



王女は困惑していた、がもう諦めたようだった



「まぁあの人の妹ならそうねそれだけの力を持っててもおかしくは無いわね、ならダンジョンのことは貴方たちに任せるわ」


「はい、お任せくださいそれと.....少々お待ちください。」




シーラはその場でまったく同じ見た目をした分身を作り出した




「え?ちょっと、何なのよ?これ」


「私の分身です、少々まずい事態がおこりましたので少し下がっててください転移門ゲートあとは頼みます」




シーラの分身は開かれた転移門ゲートに入っていった




「これでひとまずは大丈夫でしょう」


「え?何が?それに分身?」


「まぁそんなことは置いといて次の話に移りましょう」


「え、あぁもういいわ、それで次の話とは何なの?」


「魔法学院の事です」


「あ、もしかして貴方も通うの?」


「えぇもちろん私達姉妹ともう数名が」


「ちょっと待って!妹?貴方妹もいたの?」


「まだ、できたわけでは無いですが」


「ん?え?どういうことなの?」


「あぁ忘れてください」




困惑している王女はこの際無視する




「それと私のお兄様を魔法学院の学院長にしていただきたいのです」


「それなら問題ないわ、高位の冒険者が学院で新たな冒険者の育成に徹することはよくあることだもの」


「そんなに簡単に了承していいのですか?」


「え?学院の教師でしょそれくらい簡単だわ‼ある程度の実績があればね」


「学院長ですよ?ただの教師ではありません、学院長です」


「は?そんなの無理よ!今の学院長がいるものそんな急に変更なんて」


「では、何か役職か金でも与えてはどうでしょうか?」


「で、でも...そんなのって」


「ではこうしましょう」


手をポンと叩き王女に近づくそしてありったけそれでも死なない程度の殺気を王女に向ける。



「やりなさい、三日後にお兄様がそちらに向かいます、それまでに出来ていなかったらわかっていますね?五体満足で生きながらえるとは思わないことね」


「は、はい....だから命だけは」



シーラの強すぎる殺気に近衛騎士達は部屋に入ることすら出来ずにただ立ち尽くしていた、王女は死の恐怖に耐えられず失禁してしまっていた。



「では、こちらからの話は以上です、もうお帰りになられて結構です」



声を掛けるとノエル王女は逃げるように部屋を出ていった



「では結果楽しみにしていますよ」




シーラ優しく微笑み手を振った




「殿下、ご無事でなによりです」


「どこがご無事なのよ、死ぬかと思ったわ‼それになんで四騎士のあなた達は誰も助けに来ないのよ」


「俺たち動けなくなっちまいまして」


「動けなくなったって相手は私と同じくらいの女の子じゃない」


「陛下~失礼ながらあれは女の子なんてレベルじゃありませんよぉさすが師匠の妹って感じです」


「リーエンあなたほんとに覇王の弟子なったの?」


「もちろんです!許可はいただいてませんが....」


「あなた達全員でも敵わないって言うの?」




呆れたような顔でガイルが説明する




「陛下もきっと学院でいろんなことを学んだらあれには勝てないって言うのがわかりますよ」


「うるさいわねぇ私は学院で魔法を学んであんた達より強くなって見せるわ」


「学院で魔法を学んだ程度であの人に勝てるとは思いませんが」


「リーエンあんたまでそんなことを言うって言うの」


「さっきまでドアに聞き耳を立ててみんなで聞いていたのですが」


「あんた達そんなことしていたの?」


「あの方転移門ゲートって言ってましたよね?」


「確か言ってたわねそしたらなんか空間に穴が空いて、自分の分身をその中に入れていたわ」


「その魔法は神話の時代に超魔王が使っていた魔法とされているんです」


「超魔王?いったいどんな魔王なの?」


「私が調べた文献によると、王を統べる王であり理を超越した不老の魔王、神々はその邪悪な魔王を討伐に向うが魔王に圧倒されその強さを後の世に伝えるべく神々は超魔王と呼び、神々は彼女を恐れている、やがて超魔王はこの世界の脆弱さに呆れ別世界に転移したとされています」


「不老ってことはまだ生きているのかしら」


「たぶん転移した先で生きているんじゃないでしょうか、でその超魔王が転移に使ったのが転移門ゲートといわれる魔法だそうです」


「たしか、覇王様って修羅の世界から来たとか言ってなかったか?」


「もしかして転移先は修羅の世界ってことか?ならもう覇王様が倒しちまったんじゃないか?」



廊下で話しているとさっき王女が入っていた扉が突然開いた




「その文献は少し誤りがありますよ」


「「ひぅ!!」」


「廊下で立ち話をされていたら嫌でも耳に入ります、するならせめて馬車の中でしてください」


「聞いてたんですか?」


「はい全部聞いてましたよ、私は普通の女の子じゃないのでしょう?」




言っていた張本人であるリーエンが冷や汗を吹き出しそうな勢いで垂れ流している



「まぁそれも特に気にはしてませんが」


「あの妹様、文献が違うというのは一体どうゆうことなのでしょうか?」


「超魔王はこちらの神々の脆弱さに呆れて転移したわけではありません、あちらの世界の神々に連れていかれたのです、そしてその世界でも手に付けられなかった超魔王は神々に封印されたらしいです、なので私達は戦ったことがないんですよ」


「封印されてるなら大丈夫ね」


「あ、でも私達が神々を倒し能力を奪った時から超魔王の反応が消えてるんですよねぇ」


「消えているんですよねってもしかして今消息不明ってこと?」


「はい、もしかしたらこっちの世界に来て潜伏しているだけかもしれませんが」


「国家存亡の危機じゃない....今度勇者を召喚しましょう」




シーラは何もない空間に手を入れ下着を取り出し王女に渡した




「これは?」


「パンツですよ、今のあなたに一番必要な物でしょう?」




王女の顔がみるみるうちに赤くなりそれを四騎士が覗きこむように見るせいでさらに赤くなっていき頂点に到達したところで大声を出した



「なによ‼あんたらはドア越しかもしれないけど私は目の前で感じていたのよ‼そんなの....漏らすに決まっているじゃない‼あんたらだって目の前で喰らったら漏らしてるわよ‼」




怒鳴りながら乗ってきた馬車に戻っていく王女それを追いかけるように四騎士が馬車に乗り込んでいった



「ちょっと入らないでよ!!」


「俺ら馬で来たわけじゃないんで徒歩になっちまうんですが」


「ちょっとくらい待ってなさいよ!」


「え?何でですか?」


「この!脳筋が!ちょっと考えたらわかるでしょうが!履き替えるのよ!」




思いっきり扉を閉めて早速履き替える





「もうなんなのよこのクソゲーは...途中まで神ゲーだったのに、イケメンな婚約者に頼りになる従者、そしてこれから始まる魔法学園そっからの隠された才能の開花ってながれじゃないの....もう...あいつらが来てからもうめちゃくちゃよ...それに学院長にするって難易度高すぎるじゃないの...無理よ....しかもできなければ殺すなんて...どうすんのよもう!!」


ぶつぶつ言いながらドロワをおろし続けてパンツをおろしたその瞬間にシーラが突然目の前に現れる


恥ずかしさのあまり声を出そうとするが手で抑えられてしまった




「静かに..今声を出すと大事なとこ、見られちゃいますよ、お嬢様」




これから起こるかもしれないやらしい展開に心を弾ませているとシーラは手をどかしてくれた



「え、えっと」



どかした手で顎を少し上げられさらに鼓動が早くなる、そして意を決して目を閉じる

だが、期待していた展開とはかけ離れていた


「プランチェス・ノエル女王陛下もしかして貴方は、転生者ですか?」


「え....」

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