第一章 覇王降臨
第1話 運命の出会い
修羅の世界からの転移は成功した
あたりには見覚えのある森林だった、と言う事はきっとあの頃のクモ『タランチュロス』もいるはずだ
予想していた通りクモが一匹高い木から垂れ下がっている。キモッ...
こっちに向かってくる前にスキルを使う
10年の旅で手に入れたスキル
『修羅の暴虐』―――自信の最大HPの25%以下の攻撃の完全無効化
『修羅の威厳』―――全状態異常無効、即死耐性、地形効果無効、完全封印耐性、盗み耐性
この2つの常時発動スキルは修羅の世界の神クラスを倒すと自動的に手に入れることができる
欠点もあり、自身のステータス値が相手より下回ると効果を発揮しない。
『伝説の修羅』―――このスキルはいまだにわからない、まだ一度も使ったことがなく人工知能が言うには世界に大いなる変化をもたらす
『|
『
ホントに使い勝手がいいスキルだ
試しにあのクモにスキルを発動させる
頭の中で何も指示を出さなければ何もしないという行動をとる
頭の中で相手に自害を命令すればその通りに動く、精神を支配すれば感情を支配できる、
頭の中でクモに命令を出す。命令は『ひれ伏せ』
クモは木から降りて俺の前で姿勢を低くした
正直、クモにとってこれが最大限の忠誠の証なのだろう
とりあえず、周りの調査だ。ここがどこで周りに何が居るかを調べてきてもらおう
「行け!!」
小声で指示を出す、正直声に
出す必要はない、なんとなくかっこいい気がするからだ、それに発動したときは目を軽く光らせる、これによって目を見ると発動する形のスキルだと思わせるためだ
っていうのは建前で正直、―――かっこいいからだ
しばらく待っていれば、クモ達から念話が届くことだろう
その間にこの世界の脆さになれなければならない、修羅の世界でも何かする時は細心の注意を払っている、最近は力の調整も上手くなったと自負している
手始めにそこら辺の木をそっと撫でる、ほんとに優しく撫でる、自分の中のイメージとしては小動物を愛でる時くらい優しく撫でた―――つもりだった。
ドカァァァァァァァン!!!!
「え....」
優しく撫でたはずなのに...―――山が消し飛んだ
これより優しくしないといけないのか....
数分の修行の結果ようやく木を撫でることに成功した
イメージさえ掴めればこっちのもんだ
イメージとしてはドミノを並べる時の慎重さに近い
イメージさえできれば葉っぱを掴むことだってできるようになった
そしてわかったことがある...俺しばらく近接攻撃封印しよ...
しばらくするとクモ達から思念が届いた
(ヒトのムラがニンゲンにオソワレテいます)
クモの報告があった場所まで走って移動する、そこには恐らくは住宅だと思われる家々に火が放たれていた
息を吸い込むと鼻に焼けた臭いが入ってくる、だが、燃えてるにしては妙な臭いだった、燃えた臭いというよりは焦げたような臭いだったからだ
臭いの原因は背後からのようなので後ろを振り返る...―――見なければよかった
今通ってきた道は―――灰燼に帰していた...
それは自分のスピードによって生じた摩擦熱によって森と大地が焦げた事によって生まれた臭いだったのだ
そういえば走る練習してなかった...この森どうしようか...
後日、周りの国々から謎の焼け跡のせいで魔王の降臨が近いと噂されていた。この事を俺が知るのはもっと後の事だった
炎に包まれつつある村をゆっくりと歩き村の中を見て回った
そこには恐らくは村の住民と思われる死体が至る所に転がっていた―――老若男女問わずに
「やはり、人間は嫌いだ」
沸々と湧き出るイライラを抑え辺りを見て回った
子供が倒れているのを見ると思わず舌打ちが出てしまう
何かを探すとゆう訳もなく、村を見渡す、村の中央に位置した場所で十字架が建っていた
そこに近付いていくと俺はあることに気づいた、十字架の下は血溜まりになっており、十字架には人が縛り付けられていた
後ろからでは判別がつかないのでさらに近づく
その光景に俺は思わず嘔吐してしまった
体中に切り傷や刺し傷があり目は潰れ、その無残な体からはいまだに赤い雫が滴っていた
勇気を振り絞り顔に手を伸ばす、髪は血がついてしまっていて色が赤くなってしまっているが時おり見える桃色の髪に涙が零れだす
十字架に貼り付けられ無残な殺され方をしたのは紛れもない―――エミールだったのだから
―――何度この顔の笑顔を見たかったことか...
――――何度会いたいと思ったことか
―――――どうしてこんな...
――――――辛い再会の仕方なのだろうか...
何度顔を確認しようと、正真正銘本物のエミールだった。
エミールの遺体を抱きかかえ―――啼いた
どうして世界はこんなにも残酷なのだろう...
意を決して回復を試みる死んでは居るが細胞はまだかろうじて生きている
体と細胞に回復魔法をかける。
体は淡く光を発し傷はみるみる内に塞がっていく
そのあと『
しばらくすると心臓はドクドクと鼓動し始めた
ひとまず峠を超えたかと思われる
やがてスース―と呼吸を始めた
安堵で地面にへたりこむ
俺がしたことはスキルを使い死んだ脳の代わりに細胞に命令をしただけだが、汗をびっしょりかいていた
エミールが起きる前に自分の体に『
エミールの寝顔を眺めながらポケットに入っているペンダントを開いた、そこには笑顔で笑う自分自身とエミールの姿があった
思わず涙が溢れそうになるが必死に堪え、エミールの『
いままで肌身離さずに持っていたお守りのようなものだ
これからの俺には必要ない―――
少しすると、閉じていた瞳が開かれた
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