つるさきのひとりごと

鶴崎 和明(つるさき かずあき)

第1話 キリンビール

 カクヨムコン6に向けてがむしゃらに書き続けて、その後の一発目がまた飲み物か、と自分でも笑ってしまいます。食事について悩みながら書き続けた42日があって、もう何も書けないと思っていたのに、区切ってしまえばまた書きたいものがわき上がってくるので、私もかなりの変わり者なのでしょう。しかも、最初からビール、特に苦いからと言って飲めないという人も多いキリンビールを初めに持ってきては、年齢制限もないのに多くの読者が逃げてしまいます。


 あ、待って。ブラウザバックしないで。書く人なら、飲む人の気持ちが分かる参考資料になるはずですから。……多分。


 取り乱してしまい、申し訳ありません。では、おわびついでにもう一つ。このお話はキリンビールよりも発泡酒や第三のビールの方がメインです。


 いや、待って。ブラウザバックしないで。ほら、ビールの話もしますから。


 早速、たくさんの方を逃してしまったような気もしますが、気を取り直して話を始めます。いつもと雰囲気が違うかと思いますが、私も方の力を抜いて書いていますので、皆さんもどうぞお気軽に手に取っていただければ幸いです。手に取るというよりも、タップもしくはクリックするの方がいいのかもしれませんけど。


 さて、まずは第三のビールから話をしていきますと、キリンさんが出されている今の主力商品は「のどごしなま」と「ほん麒麟きりん」の二種類ではないかと思います。そのうち、「のどごし生」は古くからある商品で、私もこの商品から新ジャンル(第三のビール)を飲むようになりました。


 最初のうちはビールの代用品として飲むものだったので、

「ああ、お金があればビールをのむのに!」

と一人で言いながら飲んだものです。ちなみに、友人と飲むときにはあまり飲みません。少し余裕があるところを見せておこうと「端麗たんれいなま」をいただきますから。


 それでも、飲んだ本数が増えていくうちに、ビールが特別な飲み物で新ジャンルがテーブルワインのように普段から気楽に飲めるものなんだ、と思うようになりました。特に、すっきりとしながらもビールが持つ、他の料理の味を引き立てる苦味はかげぼうしのように感じることができます。のどごしは、その名前の通りもうたまりません。子供のころは、レストランでメロンソーダやコーラを飲みながら料理をいただくと美味しく感じていたのですが、今は食事の時には甘くない方が料理の味が美味しく感じられるので、ビールやお酒ばかりを飲みます。


 舌って、こんなに変わるものなんだ、と私もおどろいています。今でもメロンソーダやコーラは好きでですけど。


 これだけいい新ジャンルだった「のどごし生」から、しかし、私を奪ったのは同じキリンさんの「本麒麟」でした。


 まず、面構つらがまえがいい。鮮やかな赤の中に白抜きの文字と麒麟きりんのロゴ。これだけでもうどうにでもして、という思いにさせてくれます。500ml缶は二百円ほどですが、これでここまで高級感のあるものを飲んでいいのかとめまいがするほどです。ハイチュウプレミアムを手にするときの背徳感に似ています。味わいも違っていて、缶からあふれ出す香りはブーケのようで、もうそれだけで酔ってしまいそうになります。旨味も増していて、落ち着いた紳士のような味わいが素敵です。


 これほど私のようなお金に余裕の少ない酒好きにとってありがたいものもないのですが、酒税の税率が変わって昨年の十月から値上がりしました。なんとノンベエに手厳しいのでしょうか、この国は。


 このノンベエの初代救世主だったのが「端麗生」でして、これも酒税の高いビールに変わる商品として登場しました。学生時代はよく口にしていたのですが、今では第三のビールばかりになっているのでなつかしい味です。人は安きに流れるという典型でしょう、文字は違いますが。それでも、時にはビール以上に食事と合うことがありまして、厚揚げや魚肉ソーセージなどとは見事なマリアージュを見せます。いや、それほど優雅なものではなく、貧しい学生夫婦のような結婚のようなものですが。


 その分だけ、大衆酒場にあるとついつい頼んでしまい、今では家で飲むよりも外で飲む方が多くなっています。いいんですよ、立ち飲みに近いスタイルで「端麗生」にポテサラやアジフライをやるのは。アジフライは気にせずウスターソースをどぶどぶとかけてやりましょう。それがこんな時にはちょうどいいんです。カロリーとか塩分とかは酔ってしまえば気にならないんです。腹にはたまりますけど。


 あと、ビジネスホテルに泊まる時にもいいですね。コンビニやほか弁を持ち込んでから、せまい部屋でなんとなく点けたテレビの横でプシッ。のり弁のしょうゆのかけ方があってるのかな、と戸惑いながらグイっとやって白身フライにかぶりつくのは止められません。


 さあ、いよいよビールの登場ですが、まず糖質ゼロは飲んで後悔しました。やはりたまたま見たテレビよりも自分の直感を信じるべきでしたね。ただ、いただいた際に感動したのは、その後に飲んだ「一番搾り」の奥深さを教えられたことでした。一口で口の中にお花畑が広がり、冬の初めだったのですが、春の喜びを感じたほどです。いや、さすがキリンの旗印と言ったところです。これなら、何かちょっと嬉しいことがあったときに一本やりたくなってしまいます。


 一方のラガービールやクラシックラガーはすっきりした苦味が印象的です。お酒を飲み始めたころには苦くて飲めなかったのですが、今ではこちらで好んで飲むようになっています。苦味を美味しく感じるなんて昔は考えられませんでしたが、年をとったということでしょう、今は美味しくてたまりません。


 さあ、今晩もこうしたお酒を楽しみましょう。私は休肝日ですのでそのままふて寝しますが。

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