maison
紫鳥コウ
un / une
背丈の高い草が
使われている色は少なかった。創造主が余力で描いた場所だったから。葉の裏側の暗やみで
後ろめたさを引きずるようなバイクの音が聞こえてきた。そしてひと気のない赤い土の道の途中で停まった。
蠅はどこかへと消えてしまった。草むらの遠く向こうには、コンクリートをくりぬいてできたような家がいくつもあった。
男は夕陽に
そこへボロボロの靴を
男はドロップ缶を渡した。少女はフランス語を必死に拾おうとしていた。大きく書かれた
少女はドロップ缶の
少女はドロップを口のなかで転がし、男は夜が訪れるのを数えていた。
――――そして、夜の訪れはどんどん数えきられようとしていた。男はバイクの後ろに少女を乗せて赤い土の上に軌跡を描いていった。
男の腰をぎゅっと
目に見えない、身体の傷より癒えがたいものをも抱えているこの少女は、どこで覚えたのかわからない軍歌をうたっていた。
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