第36話 レベルアップ
そして合宿の最終日、朝から音出しを始めてパートで合わせる。今日は及川さんもチューバを吹くので三人でパート練習だ。及川さんの指示を聞き三人で基礎練習をした後、さっそく課題曲と自由曲の練習に入る。まずは課題曲の練習から始まった。最初から吹いて及川さんが気になったところで止まる。
「四分音符刻んでるところだんだん遅くなってるから二人とも遅れないようにして、常に前へ前へと進むことを意識して、もう一回同じところやろうか」
というようなことを繰り返していたらあっという間にパート練習の時間が終わった。そして課題曲の合奏が始まる。指揮を振る顧問の先生が全員の前に立ちチューニングを行う。
「よし、じゃあ課題曲とりあえず最初から通そうか」
先生がそう言うと全員が楽器を構える。そして先生の指揮に合わせてそれぞれ楽器に息を吹き込み始める。
「うん。みんな上手くなってるね。特に一年生、伸びが早くていい。先輩がちゃんと面倒見てあげられてるのも理由の一つだと思うけどやっぱり個人の努力だと思う。特にチューバとフルートの一年生なんか毎日のようにグループでホール開けましたって送ってくるしね。やっぱりちゃんと練習してる分チューバとフルートはかなり上手くなってると思う。だからもっと自信を持って吹いていいからね。バリサクは失敗を恐れずに演奏出来てるのがいい。そうやって堂々と吹いてればちゃんと上手くなれるから大丈夫。実際かなり上手くなってるからその調子で頑張って、あと、ゆめみん、音ちゃんと出せるようになってていいよ。その調子で頑張って」
という風に合奏が終わった後、先生はそれぞれを褒めた。そしてその後に気になった部分を少しずつ言ってその部分の合奏を行う。そういった作業を行なっている間に時間はあっという間に過ぎていく。そして、全体のレベルは確実に上がっている。それが合奏だ。もちろん、何かのきっかけがあって合奏中に個人が急に上手くなる…いや、本来持っていた力を合奏で使えるようになり急に先程までとは全く異なる合奏が生まれることがある。良くも悪くも…今回に関してはいい方向に合奏できていたと思える。数十人いる演奏者たちをたったの三人で支えていたチューバパートの支えがさらに強くなったのだから………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます