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拠点に戻った俺は、武器庫から持ってきた資料と武器をすべてシィに預け、再びの休息を得た。スペリオルアーマー、変質した右腕を使いながらの戦いは思った以上に体力を使うらしい。一息付けると分かった途端、眠気に負け、あっという間に眠りについてしまっていた。
『……できたわ!』
どれくらい経ったのかわからないが、シィの喜びの声で目が覚める。
まだ疲れは残っていそうだが、贅沢は言えない。
眠れただけでも十分だ。
「随分と早い完成だな」
『あたしの得意なことだから、当然よ。それよりも、これを見て頂戴』
そういってシィは卓上に銃をずらりと並べた。
数にして六、大小見た目さまざまな銃がそこにはあった。
「……ずいぶんと豪勢な」
『これくらいあっても足りないくらいだと思うわ、根城に行くには』
「根城?」
『……ベン』
「どうした?」
『貴方には話すと言っていたことだけど、今、いいかしら』
「構わんさ……正直まだ疲れが取れていないんでね」
『子守歌にもならないと思うけど』
「十分さ……話を頼むよ」
『うん……まずは、初代悪魔王のころの話になるわ』
そういって、シィは語った。
初代悪魔王の統治時にシィの両親が産まれた。
初代の時代は力が絶対というルールの元、世界が動かされ、日夜絶えず破壊と暴力が飛び交うような凄惨な時代だったらしい。
その影響は悪魔の世界だけではなく、他の世界にも大きく漏れ出していき、やがて使者が現れた。今俺が来ているスペリオルアーマーの持ち主だった。
圧倒的な力を持った使者は、悪魔の世界を破壊しようと暴れに暴れまわったらしく、最終的に悪魔王と相打ちとなった。
だが、悪魔王はしぶとく、残滓となってでも悪魔の世界を統治し続けようとしたが、それも限界がきて完全消滅。新たな王を選ばなくてはならない時代が来た。
そして、シィの父に当たる悪魔が王となった。
初代とは打って変わって、力による統治ではなく、どちらかといえば穏健な方法をとるようになり、悪魔の世界として異例の穏やかな日々を過ごしたらしい。
そんな頃にシィは産まれた。
両親や叔父に可愛がられ過ごしていたシィは、健やかに育っていった。
だが、そんな頃に初代悪魔王派を名乗る勢力が各地で蜂起を行い、現統治に対してクーデターを起こした。
結果から言えば、シィの両親は死に、叔父であるガンサーは、シィの安全を条件にクーデターを起こした側に仕えなくてはならなくなった。
それから世界は、かつて以上に酷い有様となった。
クーデターを起こした悪魔の名は、グレッド。
初代悪魔王を継ぎし者と、自ら名乗っているらしい。
シィの目的は、このグレッドへの復讐。
そして、ガンサーを助けることだった。
俺自身の平穏は、これを果たさない限り訪れない。
シィの目的を果たすために、俺は戦う。
そう改めて誓った。
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