第20話 幼馴染王太子とお出かけ④
図書室の掃除が終わる頃、昼寝をしていた子供達が起きてくる声が聞こえた。
クリストフ様と一緒に庭に出ると眠って元気を回復させた子供達がこちらに向かって駆け寄ってくる。
「あー、リアさまだ!」
一番最初に駆け寄ってきたのは孤児院の最年少エミだった。私の前に辿り着くと勢いよく抱き着いてくる。
「おはよう、エミ。元気だった?」
「うん!げんきだったー!」
抱き上げてあげれば両手を挙げて楽しそうに笑うエミに頬を緩ませる。
子供は嫌いじゃない。むしろ大好きなので一緒に遊ぶのは癒される。
「エミ、久しぶりだね。僕の事を覚えてる?」
「うん!クリスさま!」
「覚えててくれて嬉しいな」
キラキラ輝く笑顔で挨拶をするクリストフ様にエミはきゃっきゃっと嬉しそうにはしゃぐ。
まだ五歳の女の子だ。眩しい王子様である彼を見て、はしゃいでしまうのも分かる。
エミと遊んでいると他の子供達も揃って挨拶をしてくれた。
「クリス様とリア様が一緒に来るなんて珍しいですね」
そう声をかけてきたのは十二歳で最年長の男の子ライナーだった。
前に見た時よりも背が伸びており、成長を感じる事が出来て嬉しい。
「デートしてるんだよ」
「デート?二人はお付き合いをされているのですか?」
「違うわ。色々とあって…一緒に出かけてるだけよ」
子供に対してその色々を説明するのは流石に気が引ける。苦笑いで誤魔化すとライナーはきょとんと首を傾げた。何でもないわと首を横に振る。
「何でもない事はないだろ」
「クリスは黙っていて」
余計な事を言わないでと彼を睨み付けると肩を竦められた。
その様子を見ていたライナーから「お二人は仲が良いのですね」と言われて苦笑いになる。
「あー、クリス様だー!」
「クリス様!追いかけっこしよう!」
クリストフ様の姿を見つけた他の男の子達が駆け寄ってきて、彼の腕や足を引っ張る。
どうしたら良い?と目で聞いてくるクリストフ様に「遊んできてください」と笑って返す。
「ライナーもいっしょにやろう!」
「分かった、分かった」
男の子達に手を引っ張られるクリストフ様とライナーを見送って、私はエミや他の女の子達に笑いかける。
「私達はお庭でご本でも読みましょうか」
「うん!読む!」
「おねがいします!」
絵本を何冊か持った私達はクリストフ様達が遊んでいる姿を見る事が出来る庭のベンチに移動をする。
「どの本が良い?」
「これ!」
クリストフ様達のはしゃぐ声を聴きながらエミ達が選んだ本の読み聞かせを始めた。
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