凝固 1

 「ああ!バルドル!神の祝福を受けた子よ!その死に心を痛めない者がいようか!」

 街の中央の神殿前広場には、街に住む全ての民が集まっているのではないかと思うほどに大勢の者たちが詰めかけていた。

 その中心に立っているのは、バルドルの母親だ。泣き腫らした顔に髪を振り乱し、嘆きに叫び続けている様子は、誰の目から見ても同情してしまうものだった。


 「戦士の母よ!愛しい者を亡くしたのは決してお前だけでは無い!その嘆きを止めよとは言わぬが、せめてどうか声を鎮めてはくれないか!」

 神殿の階段の最上段から近衛兵長は叫ぶが、その声は群衆の声にかき消えてしまう。

 最下段で民を押し留めている近衛兵たちも、拘束魔法を使うのに精一杯だ。

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