世界の主 1
天翼族と龍族ムスプルの戦端において、突如として空いた大穴の周囲は、しんと静まり返っていた。そこに居たはずの者たちの、驚嘆と悲鳴は既に深く大穴の奥底に吸い込まれ、誰一人として戻っていないようだ。
唯一、その上空を飛んでいくのは、翼と能力に一切魔力を含んでいない唯の小鳥たちだ。
魔物と呼ばれるものたちとは異なり、身体に魔力貯蔵器官を持たず、魔力の有無が生命維持に関わることが無い動物たちにとって、この大穴は単なる自然の地形変動だと理解しているようで、いつもと変わらぬ様子で動いていた。
彼らは伏せ倒れている魔物たちを目敏く見つけると、その身体を啄み始める。呻き声すら上げる力も無い魔物たちは、その痛みにただ震えながら、身体が冷たくなっていくのを待つばかりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます