すいすいのノゾミヒメ のぞみのわくわく米作り7
それからのぞみはしばらく火の調整をしていると、火の勢いもだいぶ強くなってた。
「もうこんなもんでいいぞ」
「わかったよ。じゃあのぞみは先に行くから」
のぞみは火吹き竹を脇において、家の中に帰る事にした。
「そうそう。あのジュースじゃが、水路で冷やしてあるから家に入る前に持っていくんじゃぞ」
「は~い」
てなわけで。
のぞみは灯籠の灯りを頼りに薄暗い道を進む。
周辺には水の流れる音と虫の鳴き声しか聞こえなくて、本当にのぞみの住んでた場所とは違うんだなって、しみじみと思うよ。
――――それで、のぞみは家の前の水路まで到着したんだけど。
「モンエナどこっ!?」
あたりが真っ暗なせいでモンエナの場所がわからないよ。
「う~ん。お風呂場に戻ってどの辺に置いたか聞いてこようかな~」
のぞみが引き返そうとすると、ごんすけが何かを見つけたみたいで水路に向かって歩き出した。
「あれ? そっちに何かあるの?」
もしかしてモンエナの場所を見つけたのかも!?
「にゃん!」
「お~。流石ごんすけだねぇ~」
てなわけで、のぞみはごんすけの場所に行ったら。
なんと! 水路の中になんか光ってる物をはっけ~ん!!
「よぉ~し。モンエナ、ゲ~~ット!!」
更に近づいてモンエナを手に取ろうとしたんだけど、なんだか違うような。
「あれ? なにこれ?」
水路からソレを持ち上げてみると、ソレは水滴をポタポタと滴り落としながら、暗い夜にキラリと輝いた。
「…………鏡?」
ちょっと古めの鏡で、塗装が所々剥げてる。
触った感じ銅みたいな手触りだけど、正確な材質は分かんない。
鏡の部分は曇りどころかヒビ1つ入って無くて、なんだか鏡の中の世界に吸い込まれちゃいそうな気分になってくるよ。
ちょっと鏡を傾けてみると、鏡の中にすっぽりと収まった月の光が反射して周囲をちょっとだけ照らし出して、見覚えのあるカラフルな缶が見えた。
「あっ!? モンエナあった!?」
のぞみは鏡を地面に置くと、ごんすけと一緒にモンエナの場所に走って水路から缶を取り出した。
「おお~。キンキンに冷えてるねぇ~」
今日はこれだけの為に頑張ったまであって、感動もひとしおだよ。
「にゃん!」
モンエナを見るける事が出来て、ごんすけも凄く喜んでるよ。
「じゃあ戻ろっか」
ごんすけを頭に乗っけて、モンエナを片手に家に帰る事にした。
家の中に入ると、お風呂から出た米仙人が台所で夜ご飯を作ってるみたいだよ。
「ご飯なに?」
「夕餉は山芋の煮付けと川魚の塩焼きじゃ」
「ええ~っ!? そんなんばっか食べたら、のぞみ健康になっちゃうじゃん!」
「おう、なれなれ。その方が畑仕事がはかどるだろうしな」
「うぅ。油っこいのが恋しいよぉ…………」
毎日フライドポテトとハンバーガーを食べてたのが凄く遠く感じるよ。
「まあ。天ぷらなら、そのうち作ってやるからそう気を落とすでない」
「ほんと!?」
「お主がちゃんと仕事を続けたらな」
「だったら、早く! 早く! 天ぷら作ってよ!」
「…………今日は無いと言っておるじゃろ。ほれ、ちょうど出来たぞ」
料理が終わった米仙人は、おぼんに煮付けがもられた大皿と焼き魚を乗っけたお皿を3個持ってきた。
「あれ? なんでお皿が3個あるの?」
「そやつの分じゃ」
米仙人はお塩がかかってない焼き魚をごんすけの前に置くと――――。
「にゃん!?!?」
自分のご飯を発見したごんすけは、のぞみの頭からジャンプ!
そして。
いただきますを待たずに、お魚に飛びついてがっつき出しちゃったよ。
「では。わしらも、いただくとするかのう」
「そだね。いっただっきま~す」
のぞみ達はちょっと遅めの食べ始めた。
…………って、あれ?
お外が暗いから遅めだとは思うんだけど、よく考えたらここには時計が無いから、いつもより早いのか遅いのか分かんなかったよ。
まあ、お腹が空いてるから今はそんな事なんてどっちでもいっか。
「今日はかなり頑張ったようじゃな」
「まね~。てか、これだけ頑張ったんだし、もう帰してくれてもいんじゃないかな?」
「それは駄目じゃ!」
「え~。けち~」
「おぬしには米作りの大変さを教えると決めたのじゃからな。そんなわけで明日は田植えをしてもらう」
「は~い」
お米を食べてたら喉が乾いたから、のぞみはモンエナの蓋を開けて飲むことにしたんだ
蓋を開けた時に聞こえる炭酸の弾ける音を聞くだけで、もうたまらないよ!!!!
そのまま、のぞみは晩ごはんとモンエナをかんしょ~く!
「ごちそうさま~」
――――なんだか今日のモンエナは、いつもとちょっとだけ違う味な気がした。
のぞみちゃんのダラダラぐ~たライフ!!!! てんつゆ @nodocchi
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