リアルタイムアタックで世界を取るよっ!7
「して、ダンジョン99のトラップの種類はどれくらい知ってるでおじゃ?」
「えっと。地雷と丸太だっけ? …………あっ!? あと落とし穴もあった気がするよ」
「他にはトラバサミやバネとかもあるでおじゃるな」
「そうなんだ。結構あるんだね」
「結構あるんでおじゃるよ」
のぞみも一応ダンジョン99はプレイした事はあるんだけど、さらっと軽く通常プレイしただけで、クリア後の上級者向けタイムアタックダンジョンはやった事がないんだ。
通常ダンジョンの簡単な罠の事は何度も引っかかってある程度は把握してるけど、タイムアタックダンジョンの罠は大納言のプレイで見ただけ。
だから効果だけじゃなくて、対策とかも頑張って覚えないとだね!
「まずは、ここをまっすぐ歩いて向こう側に行くでおじゃる」
「おー!!!! …………って、何も無くない?」
のぞみの前には危険ってでっかく赤字で書かれた看板と、周りを板で囲んだまっすぐの道があるだけだよ。
「行けばわかるでおじゃるよ」
「わっかたよ。まあ歩いてくだけなら余裕、余裕」
のぞみは看板の横を通って道をまっすぐに進む。
とくに何事も無く3分の1くらい進んだ所で、カチッと足元で何かを踏んだ音がした。
――――その瞬間。
足元からぶわって白い粉が舞い散って、のぞみを包み込んだ。
「けほっ、けほっ。な、なにこれぇ~」
「にょほほ。ここは小麦粉地雷エリアでおじゃる。さあ無事に向こう側まで辿り着く事が出来るでおじゃるかな?」
あのゲームの地雷は踏んだら体力の半分が吹っ飛ぶから、絶対に気を付けないといけないトラップの1つなんだ。
それに大型の地雷だと一発で9割以上持ってかれて、そのまま敵の攻撃とのコンボをやられたらどんなに順調でも一気にゲームオーバーなっちゃうから、絶対に回避しないといけない感じになってる。
「こうなったら、のぞみのセブンセンシズでっ!!!!」
のぞみはこれまで培ってきた自分のカンを信じて足を進めた。
―――――んだけど。
カチッ。
と、すぐに足元でスイッチを踏む音が鳴っちゃった。
「わわっ!?」
もっかい足元から噴出された小麦粉がのぞみを襲ってきて、顔が真っ白になっちゃったよ。
「うう~。こんなん分かるわけないじゃん!」
四つん這いの状態でバンと床を叩くと、周辺に散らばった小麦粉がちょっとだけ舞い散った。
今、のぞみの顔はかなり真っ白で、あと2回くらい小麦粉を浴びたら大納言と同じくらいの真っ白になっちゃいそう。
まあそれはそれで面白いんだけど、今は特訓中だからわざと真っ白になるみたいな事はしないのだっ!
だけど、のぞみの長年培ってきたカンを持ってしても、隠れてるスイッチの場所がわからないのはかなりやっかいだよ。
改めて周りを見てみると、なんか端っこの方にゴーグルみたいなのが置いてあるのを発見!?
「もしかして、あれを付けたら見えるのようになるのかも!?」
そうと決まったら、ゴーグルに向かってダーッシュ!!
――――だけど、ゴーグルに手が届くと思った瞬間。
またまたスイッチを踏む音が聞こえてきて、小麦粉がのぞみを包み込む。
――――そして。
舞い散った小麦粉が晴れて視界が開けた時には、さっきまでそこにあったゴーグルはどこかに吹き飛ばされて無くなっちゃってた。
「あれっ!? さっきまであったのに無くなっちゃってるよ!?」
「どうやら衝撃で吹き飛んでしまったみたいでおじゃるな」
「ええ~っ!? せっかく使えそうな物があったのに」
「地雷トラップは周辺の物を全て吹き飛ばす効果もあるのでおじゃるよ」
そういえば、あのゲームの地雷は周りのマスにも効果があるんだったよ。
のぞみが通常プレイした時もレアアイテムの1マス先で地雷を踏んじゃって、消し飛ばしちゃった事もあったっけ。
だからレアアイテムがある場合は地雷に注意しないといけないんだったよ。
「地雷の事はわかったでおじゃるかな?」
「うん。だいたいわかったよ」
よしっ。これで地雷の使い方は一通りマスター出来たかな。
―――――そんなこんなでのぞみは続いて、飛んでくる丸太や巨大バネといった罠も実戦練習で効果を完璧に把握して、トラップの対策を完全にマスターしたのだっ!
「では、そろそろ帰るでおじゃ」
「ごんすけ~、帰るよ~。………………あれ?」
おかしいな。
いつもなら、のぞみが呼んだらすぐに来るのに。
「あっ!? あんな所にいるでおじゃる!?」
「えっ!? どこっ!?」
大納言が指をさした方を見ると、大きな樹が見えたんだ。
そして――――。
「ごんすけっ!?」
なんと、樹の上の方には降りられなくて困ってるごんずけの姿が!?
「木登りして、降りられなくなっちゃたのかも!? 早く降ろしてあげないと、落っこちて怪我しちゃうよ!」
「急いで助けるでおじゃる!」
けど、今いる所からごんすけが登ってる樹までの間には特訓で使った流れの早い川があって、橋のある場所まで大回りして行かないと辿り着けない。
なにかショートカット出来るのがあればいんだけど…………。
のぞみ達の周りにあるのは、いろんなトラップの練習で使った機材だけ。
「あっ!?」
使えるものが無いかいろいろ探していると、丸太のトラップの練習に使った機材が目に入った。
「これを使うよっ!」
このトラップは、スイッチを押したら丸太が正面から飛んでくるんだ。
そして丸太に吹き飛ばされたら、後ろの方まで戻されちゃう。
つまり速度を競うタイムアタックだと、この罠を踏んじゃうだけで数秒のタイムをもってかれちゃうやっかいなトラップ。
――――けど。
一見、厄介なだけのトラップにも使いみちはあるんだよ!
「えっと。角度はこれくらいでいいかな?」
のぞみはごんすけがいる方向に背中を向けてスイッチの前に立った。
「え~~いっ!!!!」
そして、勢いよくジャンプして、おもいっきりスイッチを押したんだ。
すぐに機材が反応して、丸太が噴出された。
ちなみに丸太の先には衝撃吸収能力の高いクッションがついてて、当たっても痛くないし怪我もしないように出来てるんだ。
正面から飛んできた丸太にしがみついて、のぞみは後ろに押し戻される。
ごんすけに背中を向けてボタンを押したから、押し戻される先はごんすけの方向っ!
飛翔する丸太はそのまま川を越えて、向こう側にショートカット成功。
「ごんすけ!」
のぞみは勢いが無くなって止まった丸太から離れて、ごんすけが登ってる樹へと走る。
そして、樹の下まで到着したのぞみは服の上着を脱いでから広げて両手で持つことで、衝撃を和らげるクッションの代わりにした。
のぞみの姿を確認したごんすけは、安心して樹の上からジャンプした。
後はのぞみがしっかり受け止めるだけ!
「ここだよっ!!!!」
ボフッとのぞみの両手に軽い衝撃があった後、上着の中にはごんすけの姿が収まってた。
「ふぅ。危機一髪だったよ」
「にゃん! にゃん!」
無事に着地したごんすけはさっきまで怯えてたのが嘘みたいに、元気よくのぞみの顔にスリスリ攻撃を仕掛けてきた。
「おお~。ごんすけは甘えんぼさんだねぇ~」
そんな訳で無事にごんすけとも合流して、本日のトラップ講座は無事に終了。
対策も進んで、帰りの電車で飲むモンエナが凄く美味しいよ。
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