下町グルメ訪問

ミツル

第1話たこ焼きの話

東京には「銀だこ」と言うたこ焼きのチェーンがあって、全国に展開しているらしい。良くはわからないのだけど8個入りで五百四十円もするそうだ。それはもはや下町のたこ焼きではない。


「外はカリっと、中はふんわり」


そんな文句には私の触覚には触れない。たこ焼きと言うのは


「安くてなんぼ」


なのである。未だに大阪では十個百円と言う店は存在していて、昭和、平成、令和を辿っても閉店することは無く、老夫婦が店を切り盛りしていたりする。


私の近所では大変面白い事になっている。潰れたたこ焼き屋の店の跡地にまたたこ焼き屋が出来てまた潰れるというのをもう五回もしている。関西で言う「粉もん」は原価率が低いので店の利益率は高い。しかし六個五百円などと言う値段に大阪の庶民は反応しない。作り置きしているたこ焼きは油が回り、非常に不味い。


ネギを沢山盛っても、マヨネーズやら手の込んだソース、こだわりの生地などどうでも良いのだ。たこ焼きに求められている事は


「安くて、小腹が満たされる」


これ以上でもこれ以下でもないのだ。


またたこ焼き屋ができた。

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