Soulcode(上)
マシロカネミツ
#1 俺はケニー、ケニー・ブロゾン。
俺の話を聞きたいって?つまらんよ。辞めときな。
…そうかい。あんたも物好きだねぇ。
まぁ、いいや。
座んな。
この稼業ってのァ、ヤクザな稼業よ。でも俺らァ
コイツに「魂」込めてんだよ。
俺の名前かい?あら、自己紹介まだだったか、
そうかい。ゴメンよ。俺はケニー・ブロゾン。
ニューヨークの郊外に住んでるしがねぇトランペ
ッターよ。
始まりは今夜みてぇなくそ寒い夜だったな。
俺はバンドの練習をしにスタジオへ向かった。
ほとんどのメンバーがほぼ時間通り集まったが、
周りを見渡すと、アイツがいねえでやんの。
『おい、ジョニーのバカはどしたい?』
俺がメンバーの一人…あー、なんつったかな
あいつ。
あ、ジェラルド!ジェラルド・ケネディだ!そう
そう、いつも俺が「ケネディ大統領!」なんて茶
化すもんだからあいついつも調子乗っちまって…
あ、すまねえ、話がズレたな。とにかく、ソイツ
にジョニーがどうしたか聞いたのさ。
そしたらあの野郎、こう抜かしやがった。
「さぁ?昨日の夜もしこたま飲んでたから今頃まだ寝てんだろ。」
…つめてぇ野郎だぜ。え、仮にもお前、バンドの
『仲間』だろ?
もちっと言い方ってもんがあらーな。
だもんだから、仕方ねぇ、俺が様子を見に行ってや
ったんだ。愛車を飛ばしてな。
…そしたらあの野郎、テメーの部屋ん中で、テメ
ーのバスルームで、死んでやがった。
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