第陸拾壱話 王族とレガールでお食事(後編)

 王家の方たちとレガールに来ている。

 ラッキーなことに並ぶことなく席に着くことができた。


「いらっしゃい。九名様ですね。アオイちゃん、今日は大勢できたわね。」


「はい。来てみたい言われたので連れてきました。」


「そうなのね。テーブルくっつけるからちょっと待ってね。」


 大勢で行くとテーブルくっつけないとダメですよね。前世の世界なら座敷席や長テーブル席とかあったけどね。


「お待たせしました。こちらの席になります。こちらお冷やになります。ご注文が決まりましたらお声がけください。」


「皆、何にしますか。」


「私は、昔食べた厚切りキングバイソンのサーロインステーキのパンのセットにする。」


「私もアレクと同じものを」


「私も父上と同じものを」


 お父様とアレン王子様は、国王陛下と同じステーキにするようだ。


「私はどうしようかしら、アオイちゃんは、何にするの。」


 お母様は、何にするか悩んでいるようで、私が何を注文するつもりか聞いてきた。

 はじめて来た店だからメニューも多く、何がいいか困ったから、私と同じものにするつもりなのかもな。


「私は、オムライスにするつもりです。」


「じゃあ、私もオムライスにするわ。」


「いいわね。私もオムライスにするわ。」


「私もオムライスがいい。」


 お母様が私と同じオムライスにすると言うと王妃様とアルカちゃんもオムライスに決めた。王妃様もお母様と同じ考えだったのかな。


「私は、煮込みハンバーグのライスセットにします。」


「レオン兄さんはどうしますか。」


 残るは、レオン兄さんだけだったので、聞いてみた。


「そうだな。カルボナーラ、あとマルゲリータとビスマルクにしよう。」


「ああ、ビスマルクいいな。レオン兄さん、一切れください。」


「いいぞ。」


 やった~。プロシュットというハムとチーズのピザに卵が加えられたピザなんだよね。ビスマルク美味しいんだよね。

 皆、注文するものが決まったので、店員さんを呼び注文をした。

 勿論、食後のプリンも人数分注文しました。

 しばらくすると注文の品物が届き、それぞれ食べはじめた。


「久しぶりに食べたが、うまいな。この分厚い肉、食べごたえがありたまらんな。」


「そうだな。ミッシェル。」


「ステーキは、城や貴族区域の店でも食べられますが、こんなに暑くないですし、ソースも違いますね。私は、こちらの方が好きです父上。」


「そうだろう。普段、食べているステーキは、塩とコショウだけだからな。物足りないのだ。ここのは、アイユソースだからな。」


 そうなんだよね。アイユソース、地球のガーリックソースだからガツンとパンチがあってたまらないんだよね。


「アオイちゃん、このオムライス美味しいね。私の知っているオムライスと違って、卵がふわふわでトロッとしているんだね。」


「昔は、ここもこんなオムライスではなかったぞ。」


「そうなの父上。私はこのオムライス好き。」


 そうなのだ。国王陛下の言われた通り、レガールのオムライスも以前は、しっかり焼いたオムライスだったが、私が提案してふわとろのオムライスになったのだ。


「アルカちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ。」


 そんな会話をしながら、食事を楽しみ、今は、食後のプリンを堪能している。


「何度食べてもプリンはうまいな。今後は、貴族区域でも食べられるが、城でも食べたいな。」

「すまぬがよいか。店長を呼んでもらえるか。」


「かしこまりました。」


「お待たせしました。私にご用があるとか。国王陛下どうされましたか。」


「ダニエル、久しぶりだな。」


 国王陛下は、ダニエルさんのこと知っているの!!

 私が不思議に思っているとお父様が教えてくれた。


「若い頃にアレクとレガールに食事に行ったのだが、城の者に一般区域に行っているのがバレてな。レガールに騎士が駆けつけたのだ。

それで、私たちの素性がダニエルにバレてしまったのだ。」


「そうだったのですね。」


 そりゃあ、ちょくちょく抜け出して一般区域に出掛けていたらしいので、バレるよね。

 笑い話として話しているが、城の人たちもダニエルさんも驚いただろうな。


「料理もプリンもうまかったぞ。料理の腕も上がったな。」


「ありがとうございます。そう言っていただき、光栄です。プリンはアオイのお陰ですけどね。

貴族区域にもお店をつくると聞きましたが、王城でも食べたいということですかな。」


「流石、ダニエル。わかっておるではないか。」


「プリンに関しては、アオイに相談してみてはいかがですか。私も教えてもらった身ですからね。」


「そうだな。」


「そうですね。貴族区域の店では、テイクアウトできるようにしたりとか、外に漏らさないのであれば、王城の料理人にレシピを教えてもかまいませんよ。」


「それはいいな。王城の料理長に直接教えてやってくれ。城で働く者たちだからあり得ないと思うが、城の料理人全てに教えると万が一があるからな。」


 まさか王城で王族の料理を作っている料理長に教えることになるとは……レシピを書いたものを渡すだけでいいかと思っていたのに……


 混んできて、忙しくなってきたので、ダニエルさんは、調理場に戻り、私達も食事は済んだので、店を後にした。

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