第陸拾話 王族とレガールでお食事(前編)

 私に関する公表から、一週間がたった。

 あれから、お父様とお母様は、領地のことをノリス兄様とカール兄様に任せて、王都の屋敷で生活している。


 私とレオン兄さんは今、王都のヴァスカトール公爵家の屋敷に行くとお父様とお母様の他に国王陛下、王妃様、あと知らない人が三人いた。


「国王陛下、王妃様、本当にレガールに行く気なのですね。あとそちらの方たちは……」


「当たり前だ。私は、決めたことは必ずやるのだ。」

「アオイは、会うのは初めてだな。第一王子のアレン、第二王子のニック、王女のアルカだ。」


「はじめまして、アオイです。よろしくお願いいたします。」


 まさか、国王陛下と王妃様だけでなく、王子様や王女様まで連れくるとは……

 お城の仕事は大丈夫なのだろうか……


「第一王子のアレンだ。こちらこそよろしく。父上がすまぬな。」


「第二王子のニックです。よろしく。」


「王女のアルカです。アオイちゃんは、私と同じ年なんだよね。仲良くしてね。」


 アルカ王女様、めっちゃ可愛い~目がクリクリで、王妃様と同じく茶色い髪だ。

 二人の王子様は、国王陛下と同じ綺麗な金髪で、ザ・王子様って感じ。


「はい。アルカ王女様、仲良くいたしましょう。」


「ダメ。王女様とアルカ様とかは、ダメなの。アルカって呼んで」


 流石に王女様を呼び捨てするのは、ダメだろう……

 困ってしまったので、国王陛下を見る。


「公式の場ではダメだが、プライベートならいいだろう。」


 国王陛下の許可いただいたし、呼ばないと泣いちゃいそうだったので、アルカちゃんと呼ぶことにした。


「わかりました。アルカちゃん、これでいいかな。」


「うん。」


 すごく眩しい笑顔。めっちゃ可愛い~

 なんか、王子様二人が羨ましそうにしているな……

 呼んでみちゃおうかな。


「アレンお兄様もニックお兄様も仲良くしてくださいね。」


「「勿論だ(です)」」


 すごく喜んでいる。ダブル王子様スマイルが眩しすぎる~

 転移して来てから、美形ばかりで慣れてきていると思ったけど、王子様、王女様の美形スマイルひと味違う。

 オーラが……後光がさしている。

 これが王族の存在感か。

 国王陛下も王妃様も王族だけど、はじめから素を見ちゃっているからここまでじゃなかったのにな。

 まあ、二人の子供だからそのうち慣れるだろうな。


「アオイ、顔が赤いぞ。どうした。」


 レオン兄さんが私の顔を覗き込んできた。

 可愛いが正義のちょっと残念なレオン兄さんだけど、不意打ちは、ヤバい。

 美形の整った顔が目の前に……


「大丈夫です。何でもないです。」


「そうか。アレンかニックに惚れたとかではないだろうな。」


「なに!!本当か」


「本当!!」


「「それはダメだ(よ)」」


 レオン兄さんの発言に国王陛下と王妃様は、嬉しそうにしていたが、お父様とお母様は、ダメだと否定した。レオンお兄さんも不安そうだ。

 大丈夫だよ。そんな気はないから。


「レオン兄さん、そういうのはないから安心して」


 国王陛下、王妃様、ニック王子様は、残念そうにガッカリと肩を落とした。

 そして、お父様、お母様、レオン兄さんは、嬉しそうだ。

 アレン王子様は、私のもとにやってきて急に私を抱き抱えた。


「アレン、何をやっているのだ。」


「アオイが可愛くってさ。アレンお兄様って呼ばれて嬉しくなって、新しい妹ができたようで、つい我慢できなくなってしまった。可愛いは正義だからな。」


 アレン王子様は、レオン兄さんと同類ですか。


「アレン兄様、ズルいです。アルカも抱っこ。」


「そうだ。アオイは、俺に任せて、アレンはアルカを抱っこしてやれ。」


 そういいながらレオン兄さんは、アレン王子様から私を取り上げた。

 アルカちゃんは、嬉しそうにアレン王子様に抱っこされた。


「皆さん、行くのならそろそろ行きませんか。」


「そうだな。行列ができるということだし、流石に王族を行列に並ばすわけにはいかないからな。」


「私は、行列に並んでもかまわぬぞ。行列に並んで食べるのも一般区域で食事をする醍醐味だからな。」


「ミッシェル、アルカもいるのだからな。若い頃二人で行っていた時とは違うのだ。並び疲れて食事どころではなくなるかも知れぬぞ。」


 そうですよ。小さい子供は、行列に並ぶのに飽きちゃうと大変なんですよ。

アルカちゃんは、教育が行き届いているでしょうから大丈夫かもしれないけどさ。


「そうか。では行くか。」


 そうして、私は、王族の皆様、お父様、お母様、レオン兄さんとレガールへと向かった。

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