第参拾陸話 お祝いしました(前編)

 私が、異世界に転移してきて、十日が過ぎた。

 昨日、私はGランクにアイラはFランクに無事に昇格した。


「 十時にギルドで待ち合わせだから、そろそろ出ないとな。」


 アイラが指定した時間が近くなってきたので、ギルドに向かった。

 ギルドに着き、待ち合わせの時間にはなっていないので、アイラはまだ来ていなかった。

 しばらく待っているとアイラがやって来た。


「アオイ、おはよう。待ち合わせの時間には少し早いけど、もうアオイ来ていたんやな。」


「五分前に着いたところだよ。」


 日本人として、社会人をしていた経験の記憶があるアオイは、五分前~十分前行動が染み付いているので、待ち合わせ時間の十分前に到着していたのだ。


「待たせてしもうたな。」


「気にしなくていいよ。待ち合わせより早く来るのが習慣になっているだけだから。アイラだって待ち合わせ時間に遅れたわけでもないし、五分前に来たんだしさ。」

「セシルさんに伝言頼んでまで、待ち合わせするとか今日はなんかあるの?」


「ああ、アオイはまだ依頼終わらなそうやったし、伝言頼んだんや。

 私は昇格したし、アオイも昇格できると思ったからもしアオイが昇格したら伝言伝えてやってね。」

「今日は、二人共昇格したからお祝いしよう思ってな。」


「なるほどね。私もお祝いしたいと思ってたんだ。どこでやるの?ギルド酒場?」


「レガールに行ってやろうかと思うてる。」


「いいね。」


 今日からレガールでプリンが新メニューとして登場するし、アイラにも食べてもらいたいと思ってたから好都合だ。


「じゃあ、行こか。」


「うん」


 私たちは、昇格祝いをするためにレガールに向かった。


「いらっしゃいませ。」


「あら、アオイちゃん、今日も手伝ってくれるの」


「違うよ。今日はお客さんとして来たんだよ。」

「私はGランクにアイラはFランクに昇格したから二人でお祝いするんだよ」


「あら、そうなの。昇格おめでとう。」

「二名様ね。空いている席に自由に座ってね。」


「はい。」


 カトリーナさんに手伝いか聞かれたが、今日来た理由を伝え、お祝いの言葉をもらった。仕事対応モードになったカトリーナさんに言われ、空てい席を座った。


「アオイちゃん、アイラちゃんいらっしゃい。」

「それから昇格おめでとう。でもレガールは、お祝いをするような店ではないと思うんだけどいいの?」


「「うん。問題ない(なしや)。」」


 今度は、マーガレットさんがきた。マーガレットさんからもお祝いの言葉をもらい、レガールはお祝いするような店ではないけどと言われたが二人で問題ないと答えた。

 そして、アイラには聞こえないように私はマーガレットさんに今日からプリン販売開始だし、アイラにも食べてもらいたかったから丁度いいということを伝えたら、マーガレットさんはなるほどね。小さな声で答えた。

 私とマーガレットさんが話しているのを見ていたアイラは隠し事かなんって言ってきたが、まさにその通りだ。


「今日から新メニューが販売になるんだよ。」


「そうなんか。じゃあ今日はそれにするかな。」


「ああ、でもそれは食後に食べるやつだからご飯食べてから追加注文しようよ。」


「わかった。」


「マーガレットさん、食事が済んでからあれ頼むから二つ取って置いてね。」


「たくさん店長たちが作ってたから大丈夫だと思うけど、一応二つ取って置くよ。」


「ありがとうマーガレット。まだ何にするか決まってないから決まったらまた声かけるよ。」


「おお、そうだった。注文聞きに来たんだったわ。これメニューね。決まったら呼んでね。」


 話し込んで自分が何しに来たか思い出したマーガレットさんはメニューを渡して席を離れていった。


「アイラ何し頼むから決めようか。」


「そやな。ミルクバイソンの依頼の報酬があるし、今日はお祝いやから奮発するでぇ。ここは安いけどいつもより高いもん注文するでぇ」


「まあ、お祝いだしね。で何にするの?」


「そういうアオイは何にするんや?」


「まだ決めてない(笑)」


「うちに催促するように何にするか聞いてきといて、自分も決まってないんかい。」


「「ワアハハハハア」」


 アイラに何にするか聞いたが、質問返しされ私も決まってないと言ったらつっこまれお互い笑った。

 それから再度、メニュー表をみて何を頼むか決めることにした。


 セットものを一つと飲み物、あと二人で食べられるように何か一、二品単品で頼むのがいいね。きっとと思いながら、私は注文するものを考えた。


「私は決まったけど、アイラ決まった?」


「お祝いやから色々食べたくてまだ決まってないんよ」


「私はセットもの一つと飲み物、あと二人で食べられるように単品で一、二品頼むことにしたよ。」


「おお、それええな。うちもそうするわ。被ったらあかんから何頼むのか教えてくれや」


「うんとね。セットがこれで、単品はこれとこれだよ。アイラが悩んでたやつと被ってる?」


「一つ被っているけど、それは頼むの確定で、あと一品はこれにしよう。セットはこれで決まりや。うちも決まったでぇ」


 二人共決まったので、注文するために店員さんを呼ぶことにした。

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