第玖話 これはないな……ダメだろう……やってくれたなぁ~(前編)

 私が、どうしたものかと、あたふたしていると、ヒューイットがそれに気がづいた。


「アオイ、どうした?」


 私は、理由を説明した。


「あの~、私、身分証ないんですけど、検問って、自分の身分とかがわかる身分証必要だったりするんじゃないですか?」


「身分証か。普通は四歳じゃまだ身分証持っているわけないもんな。そうだなぁ、身分証があれば、スムーズに検問終えて、中に入れるけど、別に無くても大丈夫だ。金はかかるがな。」

「俺は、冒険者だからこの冒険者ギルドのカードが、身分証になる。

冒険者ギルド、商業ギルド、鍛冶ギルド、医療ギルドなど、色んなギルドでカードは発行してもらえるから、中に入ったらアオイも冒険者ギルドで、仮登録して仮のギルドカード発行して貰えよ。学校に通うつもりでいるなら別だかな。」


 ヒューイットさんの話によると、子供は学校に通っている子以外は、七歳になったら、親の仕事を継ぐためだったり、自分がなりたい職業があったら弟子入りしたりして、見習い仕事始めるので、就きたい仕事を管理している各々の職業ギルドで仮登録して、仮のギルドカードを発行してもらうらしい。この世界は十五歳で成人みたいで十五歳になると本登録して、正式なギルドカードを発行してもらえるらしい。

 これは、他のところに弟子入りする場合、別のギルドで仮登録し直さないとならないので、転職する場合の事を考慮して、仮登録となっているらしい。

 そういう仕組みになっているが、成人してから転職する人はいるが、成人前に転職して、別のギルドで仮登録し直す人はほとんどいならいらしい。

 成人後の転職は仮登録ではなく、お金を払う必要があるがいきなり本登録となるらしい。

 ちなみに学校に通う場合は、入学時に学生証を発行してもらえるので、それが身分証になるらしい。

 七歳未満の子供の身分証明は、親のカードに扶養家族として登録されているらしい。小さい子供が一人で、門の外に出ることなんて、普通ないだろうから、そういう風になっているんだろうな。

 ヒューイットさんの説明を聞いて、気になった事があったので、質問してみることにした。


「私、四歳だけど仮登録したり、学校に通ったりってできるの?あと身分証ない私は、どうしたら中に入れるの?」


「他の普通は職業ギルドはできないが、君もそうだけど、親がいなかったりとかで、働かなきゃいけない子供もいるだろう。

だから冒険者ギルドは、仮登録に年齢制限はないし、規定のランクに昇格できれば、本登録してもらえるぞ。あと特例だが、見習いとして働かせてもいいって、了承してもらえれば、他の職業ギルドでも七歳じゃなくても仮登録してもらえるし、学校も飛び級試験を受け、合格すれば通えるよ。」

「身分証明ができるものがない場合は、ステータスを鑑定できる水晶に触れて名前や年齢、犯罪歴のチェックして問題なければ、国や都市などによって、違ったりするけど、ターブルロンドだったら大銀貨五枚を払えば中に入れるよ。」

「アオイは犯罪歴ないだろうし、お金も俺が払うから心配しなくてもちゃんと中に入れるから大丈夫だ。」


 今後、どうするかは、まだ決めてないし、家に着いてからギルドで仮登録するかも含めて考えよう。

 学校は別にいいかな。

 中に入れるのはよかったけど、お金持ってないから仕方がないけど、ヒューイットさんに出して貰うのは申し訳ないな。

 働いて、お金手に入ったら、ちゃんと返そう。

 気にしてない感じだから、返そうとしても断られるかもだけど、そうしたら、何かお礼すればいいかな。


「大きい門は貴族専用だから、俺たちは、こっちの門の方だよ。じゃあ、改めて行こうか。」


 色々、考え事をしていたら、そう、ヒューイットさんに言った。

 そして、私はヒューイットさんの後ろをトコトコ着いていき、列に並んだ。

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