一歩前へ

 真っ白のシーツが眩しい日。

 まだぼやけた目と光でキラキラと舞う埃が幻想的に見える。足元と枕にニャンコーズ。隣には壁側に背を向けたあーちゃんの寝息が聞こえた。こういう他愛のないことが幸せなのだと、気がつく休みの朝。僕は天井を見上げて、ふと感じた。


 自分と同じくらいの年齢のコロナで亡くなった人たちが増えているということ。

 疾患もなく、突如悪化して救急車を呼んでいる間に亡くなるケースが増えた。これを聞いた時に恐くて仕方なかった。


 以前、僕はもう死んでもいいかな。なんて思ったことが何度かあって、こんなに辛いことが続くならもういいかなと、思っていたのだ。


 でも、歳を重ねて、周りを見渡した時に「こんな世の中だけど、もう少し生きてみても良いかな」と感じた。誰がどうとか、生きたい人がいるのにけしからん! と、お小言を言われるかもだけれど。この際そこは軽く流して聞いてほしい。


 僕ね。やっぱりもう少し生きたいと思うんだ。移りゆく季節の美しさや、何気なく見えた景色も、もう少しだけ見ていたいと思うんだ。


 遠く離れた場所に居る友達にも会いに行きたい。


 また前のようにマスクがなくても、すれ違いざまに手が触れ合ったとして照れたように会釈できる日が来るといいな。そう、思うんだ。



 ねえ、思うよね。


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そんな僕は変わっていくのだ 櫛木 亮 @kushi-koma

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