過去

私は刑務所を出たあと、比較的真面目に働いた。

とはいっても、世間一般の異端者を受け入れてくれる職場は少なく、しばらく探して疲れて、また誰か殺して刑務所に入ろうかと考え始めた頃に、なんとか高架下の不動産に雇ってもらえた。

何故、北海道を目指したのだろう。とふと考えることがあるが、良く覚えていないし、今さら関係ないから詮索早めようと思った。

私はどうしてこんな目に遭ったのか。

どうして私だけ。と、小さい頃は思っていたがそれは世界が狭くて、そう見えていただけだった。

私よりひどいことをされた人たちもいる。死んだ人だって。

結局、自分は誰かのドラマの脇役で、自分の作るドラマの主人公なのだ。

悲惨や幸福、感動や絶望のドラマは、色んな人が撮影している。

気付いてないだけで、周りも苦しんでいる。

夜の高架下で、自販機の暖かいコーヒーを飲みながら思う。

この世界はくそくらいでいいのかもしれない、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

鬱日記帳 つきみなも @nekodaruma0218

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ