泣かない幼馴染と泣き虫な俺

とろにか

第1話 プロローグ


ーーーーーー「ありがとう、湊大(みなと)。わたしの代わりに泣いてくれたんだよね?」


一筋の涙が、頬を伝って落ちていた。


中学2年生だったあの日、幼馴染にそう笑いかけられて、俺の心は捕らわれてしまったんだ。


君が泣かないからじゃないか。


そう言いたかったが、俺は言い出せない。


俺が泣いてしまったのは、事実だ。だけれど、そんなつもりで泣いたわけでは無かったのに。


君からそんなことを言われたら、それを君が望んでいるのなら、と。


俺の心は、君の形に合うように、変わろうと努力してしまう。


「男が泣くなんて、格好悪いだろ?」


「ううん、そんなことない。そんなこと、ないから」


これは、泣き虫な俺と、全く泣かない幼馴染の、ちょっとしたお話だ。

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