時間なんて、存在しない。(エッセイ)

空木 種

時間なんて、存在しない。

みんながよく言う、雄大な「時間」。


それは、みんなを取り囲み、波のように連れ去っていく「時間」。


けど、そんな「時間」は存在しない。


「時間」とは、個々の生物、個々の人間の中にある、どこまでも個人的なもの。


つまり「時間」とは、個々の「生」そのもの。


「時間」とは、個々の「生」を便宜的に言い換えたものに過ぎない。


とりあえず同じ単位で統一した方が、仕事とかでは便利だから。


けど、そんなものに、みんなを、あなたを連れ去っていく力なんてない。


だって実体のない、仮決定的なものなんだもの。


一人一人の寿命が異なるように、本当は同じ単位なんかでは表現できない個々の「生」を、無理矢理、仮に「時間」という単位になおしているだけ。


だから大丈夫、あなたは「時間」に追われることもなければ、溺れたり、引きずられて傷だらけになったりすることもない。


そこにあるのは、それぞれ違う、オリジナルな、個々の「生」だけなんだもの。



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